シービー・リチャードエリス(株)(CBRE)は24日、「不動産投資に関するアンケート」を発表した。不動産投資家に対して四半期毎に実施しているアンケート調査で、今回は2011年10月に不動産投資に関わる219名を対象に実施、161名から回答を得て集計したもの。
東京主要部の各セクター(「オフィス」、「賃貸マンション」、「商業」、「ホテル」、「倉庫」)の期待利回り(NOI)は、前期に続き多くが横ばいとなった。ただし一部のセクターでは低下し、「ホテル」の上限値および下限値は20bps、「賃貸マンション(ワンルーム)」の下限値は10bps低下した。
地方大都市の「オフィス」の期待利回りは、大阪で横ばい、名古屋で上限値が10bpsの低下。概ね横ばいに推移していた県庁所在地の「ホテル(運営委託型)」が、前期から下限値、上限値ともに40bpsの低下、「ホテル(賃貸型)」の下限値が15bpsの低下、上限値が40bpsの低下となった。
この結果について同社は、「震災前は東京への一点集中だった投資家の検討対象が、震災後は一定の需要がある地方へも広がったことが考えられる」とコメントしている。
また、震災後に期待利回りが一気に50bps上昇し、前期は上限値および下限値が20bps低下した仙台の「オフィス」は、今期は下限値のみ10bpsの低下となった。
東京のオフィスビルの「不動産取引量」、「売買取引価格」、「NOI」、「期待利回り」、「金融機関の貸出態度」および「投融資取組スタンス」の各項目について尋ねた設問の回答結果(「CBRE短観」、DIとして集計)では、「最近(回答時点)」の状況についておおむね全ての項目で前期と比べ改善を示す結果となった。
ただし、前期は30ポイント前後の大幅なDIの上昇がみられた「不動産取引量」は、今期は4~6ポイントの上昇、前期は20~30ポイント上昇した「売買取引価格」は、Aクラスビルにおいて数ポイントの上昇、Aクラス以外は横ばいとなり、投資家心理の大幅な改善に一服感がみられた。
現在と比べた「1年先」の状況についても、引き続き全ての項目で改善を予測する結果となったが、「不動産取引量」や「売買取引価格」、「期待利回り」では、改善を示すDIが前回よりも数ポイントの下落に。ヨーロッパの財政危機や世界的な株安、為替変動(円高)といった世界経済の先行き不透明感が、投資家の将来の見通しに僅かながらも影響を与えたものと分析した。
同時に行なった、投融資対象となる不動産の各カテゴリーに対する震災前後での評価の変化に関する設問の集計結果によれば、投資基準では「地盤(液状化)」、「耐震性能」、「津波・洪水被害」、「地盤(活断層)」、「原発」の厳格化を示すDIポイントが高く、投資家がこれらの項目を依然として重要視しているとの結果となった。