(公社)日本不動産鑑定士協会連合会は6日、「不動産鑑定評価の日」記念シンポジウム「復興する日本 ~震災から1年、いまの日本と未来を考える」を、有楽町朝日ホール(東京都千代田区)で開催した。同協会では、1996年から毎年4月1日を「不動産鑑定評価の日」とし、これを記念して講演会等を開催している。今回も、600名以上が参加した。
シンポジウムではまず、建築家の隈 研吾氏が「日本再生へのメッセージ」と題して記念講演。同氏は「今後、リジョーナリズム(地域主義)に注目したまちや建物の再生が重要」とし、大きな災害を機にまちが大きく発展してきた例として、フランス革命やシカゴ大火、関東大震災などを紹介。その都度、建築形式はグローバリズムとリジョーナリズムが繰り返し採用されてきたことから、「東日本大震災で被災した東北は、その地形や文化の地域性を生かしたまちづくりが必要」(隈氏)と力説した。
その後、東京大学空間情報科学研究センターセンター長・教授の浅見泰司氏をコーディネーターに、一般社団法人三陸海産再生プロジェクト代表理事の木村隆之氏、東京大学大学院工学系研究科建築学専攻准教授の大月敏雄氏、日本不動産鑑定士協会連合会副会長の熊倉隆治氏をパネラーとして招いたパネルディスカッションが行なわれ、それぞれの立場から東北の“まちづくり、しごと、すまい、とち”の現状や課題などを話し合った。
シンポジウム冒頭挨拶した同会会長の緒方瑞穂氏は「今回のシンポジウムは、公益社団法人・連合会体制へ移行してから初の行事となる。新たな団体名に『不動産鑑定士』を入れたことは、不動産鑑定業者よりも不動産鑑定士に重きを置いた団体であることを示すため。資格者の信頼性・公正性をさらに確保しなければならないと覚悟を決めている」となど述べた。