国土交通省は24日、「津波被災市街地復興手法検討調査」のとりまとめを発表した。
東日本大震災による津波被災市街地の復興に向けて、被災市町村の復興まちづくり計画を支援するため、同省は2010年度第一次補正予算において措置された「津波被災市街地復興手法検討調査」で、被災現況調査や復興パターン検討、復興手法の検討などを実施。その成果は、随時ホームページなどで公表してきた。津波被災市町村において、復興計画がほぼ策定され、被災現況調査や復興計画の分析結果、被災地共通の政策課題への対応策の検討内容等について、既に公表済の資料も含めてとりまとめた。
浸水区域である青森、岩手、宮城、福島、茨城、千葉の6県62市町村を調査したところ、市街地を主体とする用途地域の13%に当たる118キロ平方メートル、そのほかの4%に当たる410キロ平方メートルが浸水。そのうち50%の浸水深が2m以上であると分かった。被災建物棟は25万棟に上り、そのうち全壊が約14万棟。構造割合は木造が70%と大半を占めた。
一方、浸水深と建物被災状況を検討したところ、浸水深2m前後で被災状況に大きく差が出ると分かった。2m以下の場合は建物が全壊となる割合が大幅に低下していた。
また、復興計画などについて43市町村を対象に調査を実施。12年3月末までに39市町村が復興計画を策定し、2市が復興構想を作成。採用された復興パターンは、(1)移転、(2)現地集約、(3)嵩上げ、(4)移転+嵩上げ、(5)現地復興に分類できるとした。浸水深2m未満の場合、(5)を採用するケースが多く、浸水深が2mを超えるにつれ(1)や(3)、(4)が採用された。浸水深が深くなるにつれて移転ゾーンの割合が増加、浸水深4m以上のゾーンでは嵩上げゾーンが少なくなる傾向が分かった。
なお今回のとりまとめに当たり、関連データなどを集約し、閲覧やダウンロードが可能なホームページを作成した。