一般財団法人日本不動産研究所(JREI)は、オフィスビルの“建築経過年数”が不動産価値に与える影響を明らかにするために実施した「不動産投資家調査 特別アンケート」の結果を発表した。
調査対象はアセット・マネージャー、アレンジャー、開発業など204社で、不動産投資家調査の特別アンケートとして1月19日~2月10日にかけて実施したもの。回収数は73社(36.8%)。調査条件としては、対象地域は都心5区(千代田区・中央区・港区・新宿区・渋谷区)、対象とするオフィスビルのグレードは、Aクラスビル(延床面積3万平方メートル以上)とB・Cクラスビル(同3万平方メートル未満)。
投資適格物件としての建築経過年数は15年が標準とされるということが明らかになった。なお、許容される年数の上限は、Aクラスビルで25年、B・Cクラスビルで20年という結果に。
リニューアル工事による建物設備の機能性の改善について、Aクラスビルでは、賃料および稼働率の上昇期待が半数を占めた。一方で、B・Cクラスビルでは、賃料の現状を維持する程度の効果に留まるとの見解が多く、今後のリニューアル工事の実施に大きな相違が生じる可能性を指摘している。
また、リニューアル工事においては「建物の耐震改修の実施」という回答が8割を超え、AクラスビルおよびB・Cクラスビルのいずれにおいても最重視される傾向に。また、Aクラスビルでは、省エネルギー性能の向上も重視されており、過半数を占めた。
今後の既存ビルのストック再生という観点から、リニューアル工事促進に向けた政策上のインプリケーションとして、当該工事に対する税制上の優遇策が重要になる、と同研究所は分析している。