(株)長谷工総合研究所は20日、首都圏・近畿圏における今後の住宅・マンションに対する潜在需要の考え方について検討、その内容を発表した。2011年10月に公表された「国勢調査」(10年実施)の確定値や国立社会保障・人口問題研究所の推計値、持家率、住宅着工戸数、中古住宅の成約件数などをもとに検証したもの。
住宅に対する潜在需要は長期的には人口・世帯の動向、特に世帯数の増減に左右されると指摘。家族類型別に世帯数をみると、単独世帯が占める割合が首都圏では25.4%(1980年)から37.2%(2010年)へ、近畿圏では20.1%(同年)から32.7%(同年)へと、それぞれ上昇。一方、ファミリー世帯は、首都圏で45.2%(同)から28.5%、近畿圏で45.1%(同)から29.2%(同)にまで低下している。もっとも世帯数そのものの絶対数では大幅な減少はないとした。
また、両エリアとも若年層での持ち家率が低下。マンション価格の上昇などによる一次取得者向けのマンションの供給減少などが背景にあると分析した。
一方、05~10年における首都圏と近畿圏の持ち家ストックの増加数に占めるマンションの割合を算出。首都圏は51.7%(00~05年は54.3%)、近畿圏は49.2%(同50.3%)と若干減少傾向にあるものの、50%程度で推移。分譲戸建てや中古住宅については、増加傾向にあるものの、新規分譲マンションの減少分を補うほどではないと分かった。
これらを踏まえ同社では、08年以降のマンション供給の大幅減によって、マンションに対する需要不足を懸念する声もあるが、新築マンションに対する潜在需要が大幅に減少する状況ではないと分析。魅力ある大規模物件や一時取得者向け物件の供給増によって、潜在需要の顕著化ができると指摘した。