旭化成ホームズ(株)のくらしノベーション研究所は27日、報道関係者を対象とした第9回「くらしノベーションフォーラム」を開催した。
今回のフォーラムは、京都府立大学名誉教授の下村 孝氏が「住まいの内外に持ち込まれる花と緑 ~暮らしの中に、その意義と役割、そして、あり方を探る」をテーマに講演。また関連して同研究所研究員の下川 美代子氏が「緑環境と住まい方、エネルギー消費の関係」について研究成果を発表した。
下村氏は、人にとって緑の効用は「物理的効用」(太陽熱(輻射熱)の遮断など)、「化学的効用」(CO2吸収・放出など)、「修景効果」(庭園、緑地など)、「アメニティー」(安らぎ、癒しなど)があると解説。人は原始時代から緑に安らぎなどを得ていた可能性が高いとしたほか、緑が見える病室の入院患者は回復が早い、植物がある仕事場では作業効率が上がるなどの事例を発表した。「緑視率が30%を超えると、緑の量・質ともに満たされると考えられる。オフィスビルの屋上緑化でも、ベンチや雨よけといった休憩施設が求められていることからも明らかだ」(下村氏)。
研究成果発表では、へーベルハウス居住者へのアンケート調査で、緑環境が充実している家庭ほど省エネルギーに積極的な割合が増加すると分析。リビングから見える庭の緑視率が30%を超えると季節の変化や緑の豊かさを感じることができ、省エネルギー行動につながっているとした。そうした暮らし方をする居住者を「グリーンリッチ&エコ」と呼び、単に緑を大切にする居住者(グリーンリッチ)よりもさらに自然を楽しんだり、庭の積極利用する割合が多くなる傾向にあると指摘した。