ラサール不動産投資顧問(株)は31日、「2013年不動産投資戦略中間レポート」を発表。合わせてグローバル不動産市場の概観について解説した。
北米では、物流施設セクターのファンダメンタルズが改善、商業セクターのリターンも全セクター平均を上回った。また賃貸住宅セクターは「先行回復していた影響により、賃料上昇は緩やかになるが、底割れはないと見ている」(同社投資戦略・リサーチアソシエイトディレクター・高野靖央氏)とした上で、商業施設セクターおよび物流施設セクターのコア投資を推奨するとした。
欧州は、景気低迷が続く中、投資家はリスク回避の姿勢を継続。結果、投資が英国、ドイツ、フランス、北欧諸国の4市場に集中し、地域全体の80%に。テナント需要は弱く、空室率は安定的であるものの、賃料は金融危機前よりも低い水準で、かつ横ばいで推移している。
銀行が融資を縮小していることもあり、欧州ではメザニンローンへの投資が魅力的なリターンをもたらす、と分析している。
アジアについては、市場によって回復度合いがさまざまであるとした上で、オフィスセクター・商業セクターについては、総じて賃料回復の初期段階にあると分析。東京をはじめ多くの都市でテナント需要は堅調であるも一方で、香港とオーストラリアについては、優良物件でも需要が弱いと指摘した。物流施設(高スペックの最新施設)については、どの国においても高需要である、とした。
日本については、不動産投資市場は、景気後退期にあるユーロを尻目に、アメリカとともに景気回復基調に突入しているが、セクターによって回復ペースが異なると分析。都心商業・オフィスがもっと回復しており、郊外型商業については、まだ回復の兆しが見えていないとした。
なお、商業と住宅セクターは、消費税引き上げや輸入材の仕入れコスト上昇によって、賃料負担能力が緩やかながら低下していくことが予想できるとした一方で、オフィスは円安効果期待による企業収益の増加によってさらなる改善が期待できると分析。「しかし他のセクターが停滞期に突入するなどの要因により、投資が郊外型商業に流れることも予測できる」(同氏)ともしており、投資対象として商業は魅力的であるとした。
また物流施設の好調もしばらく続くとし、「空室率が均衡に達すると予測される2015年を超えても、すぐに需給バランスがおかしくなるということはないだろう」(同氏)と語った。
なお、日本の最も優れた投資機会として、「必需品主体の郊外型商業」のコア投資と、「近代的物流施設開発」を挙げた。