(株)三井住友トラスト基礎研究所は28日、不動産私募ファンドに関する実態調査を発表した。118社の不動産運用会社にアンケートしたもので、今回で16回目。
2013年6月末時点のグローバルファンドを含む市場規模は、運用資産額ベースで推計約16兆7,000億円。12年12月末時点より約8,000億円、5.0%減少した。不動産市場の好調を背景に売買取引が活発化し、既存ファンドの物件売却が増加。運用資産額が減少した。またグループ会社がREITを上場させ、私募ファンドから物件譲渡したケースもあった。
13年1~6月期に新規ファンドを組成した運用会社は、回答企業の27%で前回調査の41%からさらに減少した。その理由については、「投資適格不動産のマーケットへの供給が少ない」「売買価格について売り手と目線が合わない」「すでに不動産価格が高騰している」がトップ3だった。
不動産エクイティ投資家の投資意欲は、「高まってきている」が75%と4期連続の増加。海外投資家の日本への投資見通しについても、「増加」回答が北米29%(前回調査:9%)、欧米19%(同:14%)、中国23%(同:6%)、豪州8%(同:0%)と、中東の12%(同:18%)以外そろって増えた。
また、「アベノミクスによる不動産市場への影響」では「良い影響をもたらす」と「どちらとも言えない」が拮抗。アベノミクスが継続することでエクイティ資金調達環境が今後1年間でどう変化するかについては「不動産価格の上昇への期待から投資資金が拡大する」「株式市場、JREIT市場が活況となり、不動産私募ファンドにも投資資金が流入する」「円安の進行で、海外投資家の資金が拡大する」などに多く回答が寄せられた。