不動産ニュース / その他

2013/9/20

「平成25年 都道府県地価調査」、業界各トップがコメント

 国土交通省が19日に発表した「平成25年 都道府県地価調査」結果について、業界団体・企業のトップから以下のようなコメントが発表された。(以下抜粋、順不同)

(一社)不動産協会 理事長 木村惠司氏
(一社)不動産流通経営協会 理事長 竹井英久氏
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏
(公社)全日本不動産協会 理事長 林 直清氏
三井不動産(株) 代表取締役社長 菰田正信氏
住友不動産(株) 代表取締役社長 仁島浩順氏
東急不動産(株) 取締役社長 金指 潔氏
東京建物株式会社 代表取締役 社長執行役員 佐久間 一氏

◆(一社)不動産協会 理事長 木村惠司氏

 今回発表された都道府県地価調査では、全国平均では住宅地・商業地とも下落したが、下落幅は引き続き縮小し、上昇・横ばいの地点も増加した。特に三大都市圏では、住宅地はほぼ横ばいとなり、商業地では上昇に転換するなど、昨年末以降、我が国経済が活性化する中で、回復の兆しが見えてきた。

 首都圏の新築マンション契約率は引き続き70%を上回る販売状況を持続しており、賃貸オフィス市場についても堅調に推移するなど、不動産市場の回復の動きは継続している。

 我が国経済が緩やかに回復しつつある中、資産デフレより確実に脱却し、持続的な経済成長を果たすためには、大都市の国際競争力の向上や住宅投資の促進をはじめとした内需主導による成長戦略の実現が不可欠である。

 当協会としても、成長戦略の実現に向け、魅力的なまちづくりや良質な住宅の供給等を通じ、貢献して参りたい。

◆(一社)不動産流通経営協会 理事長 竹井英久氏

 今回の地価調査をみると、地価は全国平均では依然として下落しているものの、下落率の縮小が継続しており、特に三大都市圏においては、住宅地はほぼ横ばいとなり、商業地では上昇に転換した。また、地価公示との共通地点で半年毎の地価動向をみると、前半(平成24年7~12月)に比べて後半(平成25年1~6月)には住宅地、商業地ともに全国平均でも上昇に転換している。

 住宅地では、低金利・住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支えや景況感の改善による住宅需要拡大等もあって下落率は縮小し、三大都市圏を中心に上昇がみられる。

 商業地については、低金利・景況感の改善に加え、堅調な住宅需要を背景に商業地をマンション用地として利用する動きが全国的にみられるなど、全都道府県で下落率が縮小または一部で上昇に転じている。特に三大都市圏を中心とする主要都市では、耐震性に優れる新築・大規模オフィスへの移転の動きが見られるなど、一部の商業地域や再開発の進む地域で上昇基調となっている。

 このように、最近の地価動向をみると、下げ止まりの基調がより鮮明となり、反転の兆しも出てきた。足元の中古住宅流通市場においても、景気回復期待感やローン金利の先高感などから活発な取引が継続しており、地価の回復の動きはさらなる市場の活性化や確実なデフレ脱却につながるものと強く期待される。

 6月に閣議決定された日本再興戦略においては、成果指標として2020年には中古住宅流通・リフォーム市場を2010年比で倍増することとしている。業界としても、不動産流通活性化に向けて中古住宅流通市場のさらなる整備に向けて取り組みを進めているところであるが、アベノミクス効果により高まっているデフレ脱却への期待を一時的なものにせず、政府が描く成長への道筋を確かなものとするためにも、中古住宅流通市場活性化を後押しする税制・金融並びに制度面での一層の政策支援をお願いしたい。

◆(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏

 平成25年の都道府県地価調査の結果は、全国平均では、住宅地・商業地ともに依然として下落傾向が伺えるものの、ここ数年下落率については縮小傾向となっている。また、三大都市圏では、住宅地はほぼ横ばいとなっており、商業地においては、一部の高度商業地や再開発等の進む地域が見られることから、上昇に転じている。アベノミクス効果による「金融政策」、「財政政策」、「成長戦略」が功を奏していると思われ、デフレ脱却の兆しが見えることは、喜ばしいことである。今後も、東京オリンピック招致の経済効果を期待しつつ、消費増税の影響が出ない政策を望むものである。

 現在、国土交通省が推進している中古住宅流通活性化のための各種施策を踏まえ、消費者の視点にたち、安心できる中古住宅の取得、リフォームを行うことができる市場の環境整備、既存住宅ストックの質の向上や流通の促進、多様なニーズに対応した魅力ある中古住宅・リフォームを提供できる取組を推進することにより、国民が無理のない負担で住宅を確保するための中古住宅流通・リフォーム市場の環境整備を進め、市場規模拡大を通じた経済の活性化に、不動産業界一丸となって取り組む所存です。

 本会では、平成26年度の税制改正に対して、適用期限を迎える各種税制特例措置の延長、良質な既存住宅ストック形成を通じた国民の住生活向上を図るための特例措置の創設などを提言している。

 また、住宅ローン減税や登録免許税・相続時精算課税といった各種特例措置に係る既存住宅の適用要件緩和についても提言を行っており、引き続き日本経済の回復、更には安定化達成のため努めていきたい。

◆全日本不動産協会 理事長 林 直清氏

 今回の地価調査では、依然として全国平均で下落しているものの、上昇地点の割合は全国的に増加している。これらは、住宅ローン減税等の施策や景況感の改善による表れで、今後とも安倍政権には、有効的な施策等の速やかな実行を期待いたします。

◆三井不動産(株) 代表取締役社長 菰田正信氏

 今回の調査結果によると、全国的には景況感の改善や住宅需要拡大等により地価下落率の縮小傾向が継続している。また三大都市圏においては、上昇地点が大幅に増加し、商業地平均が5年ぶりにプラスに転換するなど、地価は底入れから反転局面に入りつつある。

 分譲マンションの販売については、今後の金利動向や物件価格の見通しも影響して全般的に好調な状況が続いている。1億円以上の高額住戸の動きも良く、価格面でも当初の想定以上となる物件が一部に出始めている。なお、住宅ローン控除の拡充や現金購入者等への給付制度導入が示されていることもあり、消費増税前の駆け込み購入とその後の反動減については限定的な発生に留まるとみている。

 景気回復や企業業績の向上によりオフィスマーケットについても需要増が顕在化しつつあり、テナント企業の増床や拡張移転等の前向きな動きが出ている。当社においても首都圏のビル空室率が引き続き低水準で推移していることに加え、一部の物件では賃料が上昇している。

 また不動産投資市場においては、J-REITの新規上場や公募増資が増えていることに加え、首都圏を中心に国内企業や上場REIT等による物件取得が活発に行われているほか、海外投資ファンドによる動きも出始めている。

 この度のオリンピックの東京開催決定は、世界における日本の存在感を高め、国民のマインドを変える貴重なきっかけになるであろう。日本経済が順調に回復し、また東京に対する世界の注目度がますます高まっていく中、「日本再興戦略」を着実に実行できるよう、当社グループとしても、都市の国際競争力の強化、良質な住宅の供給、不動産投資市場の活性化に使命感をもって取り組んでいきたい。


◆住友不動産(株) 代表取締役社長 仁島浩順氏

 今回の地価調査では、三大都市圏の商業地平均で5年ぶりに上昇に転じたのをはじめ、都市部を中心に上昇に転じた地点が大幅に増加した。全国的にも下落率は縮小しており、地価はすでに底打ちし、回復局面に入ったことを示す結果となった。

 東京のオフィスビル市場では、空室率の改善に加え、賃料も一部で上昇に転じており、市況は着実に回復している。分譲マンションの販売環境も、低金利や景況感の改善を背景に良好だ。都心では、用地価格に加え、販売価格も強含みとなっており、足元の地価は緩やかに上昇している。

 オリンピックの誘致が決まり、景気浮揚への期待は高まっている。一方で、建設コストの高騰は懸念材料だ。政府には、景気対策と併せ、これらの問題にも迅速に対処しつつ、実効性のある経済対策を期待したい。

◆東急不動産(株) 取締役社長 金指 潔氏

 アベノミクスに伴う景気回復の足どりは、実質国内総生産や設備投資額など、経済指標の動きからも顕著に見てとれ、企業収益の改善や公共投資の増加につながり、日本経済の回復はより確かなものになってきた。

 しかしながら、消費者心理を示す消費者態度指数が低下していることに加え、消費税率の引き上げ方針が消費マインドに少なからず影響を及ぼすことが推察されるなど、変動リスクは内在しているものと認識している。

 なお、都道府県地価調査の結果については、以下のとおりと理解しており、ご参考として頂きたい。

 住宅地については、低金利や住宅ローン減税等の政策的支援に加え、景気回復を背景に、全国的な下落傾向は継続するものの三大都市圏を中心にほぼ下げ止まり、反転上昇となった地点も見られ、調査後半の三大都市圏はいずれも地価上昇となった。

 住宅購入の際、震災以降は重視する条件として、耐震性の高さが挙げられていたが、直近では、当社の販売する「ブランズ四番町」など都心物件の引き合いが高まっており、株高傾向、金利および販売価格の先高感と住宅取得支援策の充実に伴い、富裕層を中心として、都心回帰の動きが顕著となっている。また、堅調な住宅需要を背景に、商業地をマンション用地として利用する動きも活発になっており、当社販売物件では「ブランズ横濱馬車道レジデンシャル」が例として挙げられる。

 関連産業が多い住宅産業は、内需の柱として経済成長に寄与するものであり、私どもは、多様なお客様の価値観、ライフステージやライフスタイルに応じた住宅を供給していくことが使命であると認識している。安心と安全のニーズに対応する住宅性能の充実に加え、防災や省エネ・創エネといった環境配慮の質を向上させていくとともに、高齢化社会など社会の変化に対応できるよう、住まいづくりに取り組んでまいりたいと考えている。

 商業地においても、今回の調査では三大都市圏の地価変動率がプラスに転じており、回復の傾向にある。主要都市の中心部では増床事例が多くなっているほか、BCPの観点から耐震性の高い新築オフィスや、駅前などの利便性の高い地域への移転が見られ、都心5区においては3年8ヵ月ぶりの低水準まで空室率が改善した。

 ますます高まる都心回帰の傾向の中、当社では、都市部においても発信力の高い渋谷駅周辺の再開発事業や、銀座数寄屋橋交差点に面する「(仮称)銀座5丁目プロジェクト」、内幸町の旧新生銀行ビルの建て替えなど、優良立地における都心再開発の積極展開を図ってまいりたい。

 消費税の動向による景気の不透明感は残るものの、2020年の東京オリンピック開催決定を契機に明るいニュースが広がり、企業収益の改善や、資金調達環境の好転などにより、都心部のオフィス需要や店舗の出店意欲については、回復傾向が強まっているとの認識を持っている。

◆東京建物株式会社 代表取締役 社長執行役員 佐久間 一氏

 日本経済は、年初より金融政策・財政政策による株高や円安等に支えられ、緩やかな景気の回復が続いている。一方で、実体経済への波及はこれからであり、金融政策・財政政策に続き、実効性のある成長戦略の策定・実行を期待したい。

 また、東京でのオリンピック開催が決定し、これを契機に東京の国際競争力向上に資するインフラの整備や海外からの投資・企業進出の促進に向けた各種規制の見直しなどが進展することを期待している。

 不動産市場では、住宅分譲については低金利や住宅ローン減税などの需要喚起策や景気回復の期待感を背景として、販売状況は堅調であり、流通市場でも取引は増加傾向にある。

 オフィス賃貸については、新規供給減少に伴う需給バランスの改善やBCPの観点からも耐震性の優れた新築・大規模オフィスを中心に集約、空室率の低下など回復基調にある。

 こうした状況のもと今回発表された地価調査では、東京圏や名古屋圏においては上昇地点数が下落地点数を上回るなど、三大都市圏を中心として急速に改善が進んでいる。今後もアベノミクスを背景とした景気回復に伴い、地方圏も含めて改善が進んでいくことを望む。

 日本経済の更なる成長・発展のためには、国際都市間競争という観点からも、都市の機能更新や整備が不可欠となる。

 そのため、防災機能強化や環境対策などへの税制支援や規制緩和を引き続き要請していくとともに、我々も安全・安心の街づくりに貢献してまいりたい。

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