(公社)日本不動産学会は25日、すまい・るホール(東京都文京区)で「官民連携による都市輸出の未来」と題したシンポジウムを開催した。
冒頭、同学会会長の三橋博巳氏は「今回のシンポジウムは、当学会の設立趣旨にぴったりのテーマである。未来というキーワードがあるように、活発な議論を交わし、このシンポジウムを通して、これからの同学会の活動に生かしていきたいと思う」と挨拶した。
基調講演では、東京大学副学長の野城智也氏が、エコシティなどの都市開発方法を海外に輸出するに当たり、技術がどれだけ優れているかではなく、サービス価値の創造とプロジェクトのマネジメント力を磨くことが課題であると指摘。また、アラブ首長国連邦のマスダール・シティやオランダのアムステルダム、中国でのスマートシティへの取り組みを紹介。エコシティについての考え方も、国の文化や政治によって大きく異なることを理解し、日本が考えていることをそのまま供給するのではなく、ユーザーが何を望んでいるのかを捉えることがサービスの価値であり、重要であると説明した。
続いて「パッケージ型都市輸出の到達点と今後の展望-J-CODEの試み-」と題したパネルディスカッションを開催。日本大学教授の中川雅之氏をコーディネーターに、野城氏のほか、国土交通省都市局官房審議官の樺島 徹氏、(株)東芝コミュニティ・ソリューション事業部主幹の中川和明氏、(独)都市再生機構特別参与の細谷 清氏がパネリストとして参加。それぞれが取り組んでいる都市輸出の現状等を報告した。
都市輸出をスムーズにするためには、アライアンスの構築とリスクヘッジが必要であるとした。また、リスクについては、国外だけでなく、国内でも理解を得にくい状況があるとした上で、こうした課題に取り組んでいくことへの重要性を確認した。