



NPO法人モクチン企画(東京都中野区、代表:連(むらじ) 勇太朗氏)は7日、川崎市幸区で進めてきた木造戸建改修プロジェクト「Renatus(レナトゥス)」(総戸数2戸)を公開した。
同団体は、2009年より首都圏にある木造賃貸アパートの調査、分析、改修などを実施しており、12年のNPO法人化に伴い、不動産会社向けの会員組織を発足。会員に対して木賃に関する相談受付や改装アドバイスなどを行なっている。今回の物件改修は会員で賃貸仲介・管理を手掛ける第一ハウジング(株)(川崎市幸区、代表取締役:加藤 豊氏)からの依頼を受けて実施した。
同物件は、JR南武線「矢向」駅より徒歩10分に立地。1961年築の木造2階ての戸建住宅を、メゾネットとワンルームに分け、計2戸の賃貸アパートにリノベーションした。
メゾネットの間取りは2LDK。1階16畳のLDKでは、中心のリビング・ダイニング部分は最低限の手入れをして、元の風合いを生かした。その周囲の水回りなどは設備を刷新、ホワイトの内装材を採用することでメリハリをつけている。また、もともとあった洋室1室を減築し、ウッドデッキを設置。隣につくったキッチンとともに外とつながる空間として仕上げた。
2階の6畳半の居室は、天井をあらわしとし、丸太の梁などを露出させ味わいを出した上で、天井高を最高約4m確保。畳敷きの和室から唐松のフローリング敷きにした。専有面積は69.25平方メートル。
2階のワンルームはもともと6畳二間の和室だったところをひと続きとし、フローリング部屋に改修した。
空間をカーテンレールで自在に仕切ることが可能。西側のスペースは、あえて天井高を2.1mとして、部屋の中心と差をつけることで、ベッドスペース・書斎・SOHOなどで利用しやすい空間とした。
また、公園側に面した玄関ドアは上部を曇りガラス、足元に向けて透明なガラスへとグラデーションさせることで、光を取り入れながら、まちの気配も感じられるようにしている。専有面積は35.23平方メートル。
そのほか、傷んでいた屋根は軽量鉄板に変更。梁等への金物追加などにより耐震強化も実施した。
賃料はメゾネットが12万6,000円、ワンルームが7万3,000円(別途共益費2,000円)。現在、入居者募集中。
加藤氏は「同物件は借地であるため、建て替えよりも既存物件を生かす方が適していると判断。安定的に入居者を入れるため、また収益性を高めるために、賃貸アパートに変更することにした。川崎市では老朽化した木造アパート、戸建てが多くあり、今後も同団体と積極的にコラボレーションしていきたい」とコメントした。