不動産ニュース

2015/1/6

「2015年 年頭挨拶」(企業・団体)【6日分】

 不動産・住宅会社各社のトップは、下記のような年頭所感を述べた。(順不同)

<企業>
東急リバブル(株)代表取締役社長 中島美博氏
住友不動産販売(株)代表取締役社長 田中俊和氏
東京建物不動産販売(株)代表取締役社長 種橋牧夫氏
ミサワホーム(株)代表取締役社長 竹中宣雄氏
住友林業(株)代表取締役社長 市川 晃氏
(株)アキュラホーム代表取締役社長 宮沢俊哉氏
森トラストグループ代表 森 章氏 

<団体>
(一社)プレハブ建築協会会長 和田 勇氏

■東急リバブル(株)代表取締役社長 中島美博氏

 昨年の不動産流通市場は、4月の消費税増税の影響もあり、取引件数が対前年で10%程減少するなど厳しい状況が続いた。当社も年度スタートは苦戦したものの、昨年後半には持ち直し、最後には良い結果を出せたと考えている。昨年こそ厳しかったものの、この3年間の不動産流通マーケットは大きく成長している。今年以降も経済変動や税制改正などの影響を受けながら、着実に市場規模を拡大していくと考えている。

 不動産流通業界は今後も大きく変化していくだろう。その中で当社の取り組みとしては、新規出店を積極的に行うとともに、インナーブランディングである「スピード」「専門性」「サービス」の強化を徹底することで、他社以上の変化と成長を実現していきたいと考えている。

 また、今年4月には、東急不動産ホールディングスグループ3社(株)東急コミュニティー、東急リバブル(株)、東急リロケーション(株)の賃貸住宅管理事業を統合した「東急住宅リース(株)」が本格稼動する。管理物件数は現在の東急リバブルの約3倍となり、管理から売買へのシナジー効果が大いに期待できるだけに、連携はとても重要だと考えている。さらに、当社が購入してリノベーションを行い、付加価値を高めて売却していくような投資型のビジネスにも力を入れていきたい。

 今のような変化の激しい時代には、常に新しいことに取り組み、イノベーションしていくことが成長の絶対条件である。今まで以上にスピード感と一体感を持って会社を変革していきたい。今年は未年。ある格言では、「一頭の狼に率いられた百頭の羊の群れは、一頭の羊に率いられた百頭の狼の群れに勝る」という。私自身はもちろん、各事業・各現場の管理職者がリーダーシップを発揮して、組織力の一層の強化を図り、さらなるイノベーションと業績の拡大を目指していく。

■住友不動産販売(株)代表取締役社長 田中俊和氏

 新年明けましておめでとうございます。
 当社の中期経営計画は、この4月に最終年度に入ります。目標とする「3ヶ年で過去最高水準となる利益」の達成には「成長の持続」が必要です。それには「既存事業の充実」と「新しいチャレンジ」の両輪が欠かせません。

 昨年当社は、既存の直営店舗網を拡充し、当社の強みである「地域密着」を深めつつ、新しいタイプの店舗である「麻布コンサルティング」「ステップ・アドバンス麻布十番店」を開設。お客様の様々なニーズに応える取組みを新たにスタートさせました。更なる成長に向け、今年も新たな取組みを進めていきます。

 また、昨年掲げた「お客様満足度の一層の向上」を、今年は更に発展させていきます。全役職員は「住友ブランド」にふさわしい社員としての行動を日々徹底するよう、心がけてほしい。
 今年は「成長の持続」と「お客様満足度の一層の向上」を軸に、中期経営計画の達成と、当社の経営方針である「顧客第一主義」の実現に向け全社一丸、スピード感を持って前進する一年としたい。

■東京建物不動産販売(株)代表取締役社長 種橋牧夫氏

 本年は東京建物グループとして平成27年から5カ年の「中期経営計画」を新たに策定し、始動する年となる。これにあたり、

1.顧客基盤と独自性のある機能をさらに拡充し、差別化戦略を追求する。
2.部門間協業・グループ協業によるシナジーを最大化する。
3.顧客ニーズの変化に対応し、ビジネスチャンスの拡大を図る。

 この三点を本年の全社共通目標と定め、達成すべく一丸となって努力する。

■ミサワホーム(株)代表取締役社長 竹中宣雄氏

 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。昨年は消費税増税の反動減が予想以上に大きく、住宅業界にとって大変厳しい一年となりました。景気の下支えのため、昨年11月には消費税10%への増税の延期が発表されたほか、緊急経済対策として省エネ住宅に関するポイント制度の導入やフラット35Sの金利優遇幅の拡大も閣議決定されました。

 さらに、経済波及効果の高い住宅投資を促すべく、年末の税制改正大綱では住宅取得に係る贈与税非課税枠の拡大や住宅ローン減税の延長といった住宅取得支援策が盛り込まれており、住宅を検討するお客様にとってよい環境が整ったのではないかと思います。

 とはいえ、日本の人口は少子高齢化の影響により年々減少しており、今後、戸建住宅市場は縮小していくことが予想されます。ミサワホームグループは持続的成長を目指すなかで、戸建住宅事業の収益性を高めるとともに、これに並ぶ第二、第三の収益の柱を創っていかなければなりません。

 当社は今年4月に中期経営計画の2年目を迎えますが、そのスローガンである「MISAWA do all」を強力に推進するために、従来からの手法や考え方、組織体制などを大胆に構造改革していく決意のもと、平成27年の社内標語は『改革』としました。中期経営計画では事業領域を「住生活全般」に広げ、戸建住宅事業、リフォーム事業、資産活用事業、不動産事業の4つのセグメントで事業多角化を積極的に推進することで、住まいに関するすべての提案ができる企業を目指すとともに、グループ一丸となり、市場にマッチした新しいミサワホームグループを創っていきたいと考えています。

■住友林業(株)代表取締役社長 市川 晃氏(一部抜粋)

 皆さん明けましておめでとうございます。

 昨年春に8%に引き上げられた消費税率の影響による駆込みとそれに伴う反動減は、業界としても想定していたより遥かに大きく、当社の新築注文住宅の受注においても前年比では昨年10月からプラスに転じたものの、増税前のレベルには戻っておらず、非常に厳しい状態にあるといえます。

 お客様のニーズに応えるために、住友林業グループしてできることは何か?住友林業グループのすべての社員がこの課題に、日々取り組み、常に新しい提案を実行し、PDCAを回していかねばなりません。
 お客様のために、人、もの、金、情報、技術といったグループの経営資源をフル回転させること、そして、これらのValueを常に最大化させていくことが必要です。住友林業グループの存在価値は、お客様や市場のニーズにお応えするという努力の中で初めて輝きを増し、高まっていくのです。

 今回、消費税率10%への再増税が延期されたことは、足下の景気回復、消費者心理の面ではプラスであり、また当社としても再度の駆込み・反動減の影響を平準化するための新たな施策を実行することができます。つまり、我々にとって、もう一段上のステージに上がるために絶好の機会がやってきたともいえます。その意味でも今年はまさに変化しチャレンジできるチャンスの年です。是非とも、それぞれの職場で建設的な観点で仲間と意見交換し、“何を変えていくべきか”、“やるべきことは何か“という事を明確にし、しっかりと行動に移してほしいと思います。
 
 「お客様視点」と「やるべきことを やりきる一年」をスローガンに、住友林業グループをもっと輝ける存在にしていきましょう。

■(株)アキュラホーム代表取締役社長 宮沢俊哉氏

 新年あけましておめでとうございます。皆さんは新年をどのように迎えられたでしょうか。私は家族とともに軽井沢で過ごしましたが、窓から浅間山を望み、すがすがしい気持ちで新年を迎えました。

 さて、今年は羊年です。羊にちなんだ四字熟語に、「多岐亡羊(たきぼうよう)」があります。「羊が逃げた道が多くの道に枝分かれをしており、羊の行方がわからなくなってしまうこと」という意味から転じて、「学問も仕事もあれこれ手を出さず、本質を見極め根本の理だけ追求することが大切である」ということを説いているそうです。目の前の仕事や業績だけに囚われて、枝葉末節なその場しのぎの施策に走るのではなく、お客様に対して、自らに対して、仕事に対して、本当に重要なことは何かを見極めて、将来に向けて本質的な仕事をコツコツと積み上げていくことが大切であると改めて感じた次第です。

 羊は争いごとやトラブルを好まず温和で友好的、そして決して困難に負けない精神力を持つと言われているそうです。我々も2年前から「住まいづくりとは、住まい手とは」ということをしきりに考えながら、価値創造に取り組んで参りました。今年は羊のように我々の真理、根本を見据えてやり抜く1年にしたいと考えます。

 2015年はどういう一年になるのでしょうか。新しい政治に景気高揚、財政健全化を期待いたします。
 それらを念頭に置きながら、私たちは私たちの掲げる「オンリーワンの価値創造」に磨きをかけることがとても大切であると考えています。毎日を忙しく過ごしていると、一日一日の変化を見逃しがちです。

 アキュラホームは昨年、7年ぶりにベースとなる商品を刷新して「住みごこちのいい家」をリリースするなど、今新たにチャレンジと基盤づくりをしながら結果につなげる事ができていると思います。維持は後退です。改善・革新を重ねて、常に前進し続けねばなりません。今年一年を振り返った時、着実にそして大きく成長している姿を皆さんもきっと実感することになると思います。

 私たちの仕事は永代家守りを通じてお客様に喜んでいただきながら絆を育んでいくことです。そしてお客様に“しあわせ”な暮らし提案をする私たちが“しあわせ”でなくてはならないと常日ごろ申しておりますが、皆さんはこれを実行しながら、さらに失敗を恐れず大きなチャレンジをして、ぜひともワクワクとした一年にしてください。
 この新しい年が、皆さんにとって素晴らしい一年となりますことを祈念して、私の年頭の挨拶とさせていただきます。

■森トラストグループ代表 森 章氏

 昨年12月の衆議院解散総選挙により、与党が圧倒的多数の議席を占めたことで、安倍内閣による国家の舵取りの基盤となる「黄金の4年間」ともいえる状況が整った。

 日本は、戦後から続く諸制度の疲労や、70年代から続く戦略的選択と集中の視点を欠いた全国一律的な施策の失敗等により、医療・農業・雇用に岩盤規制が生じ、90年代以降25年に亘ってゼロ成長に陥っている。グローバル社会の中で相対的に地位を後退させた日本が、新たに成長に転じるためには、少子高齢化等の社会構造の変化を踏まえ、抜本的な構造改革を行う必要がある。

 国家の指導者の取り組みが、国の浮沈を左右することは、世界の歴史が証明している。安倍内閣が、この黄金の4年間を活用し、「国家の設計士」として、グローバル社会に適合した新たな成長戦略を持ち、構造改革を実現していくことを期待する。

 森トラストグループは、不動産開発事業において、虎ノ門・赤坂・三田で、総延床面積にして約50万平方メートルの開発プロジェクトを抱えており、都市の変化を見据えて次代に必要な都市資産を創造していく。 また、円安・低金利を背景に、世界的に東京の不動産への注目が高まる中、当社が築いてきた堅固な財務体質を活用し、不動産投資分野での商機を取り込むなど、時流に合わせ、事業領域の拡大をはかっていく。

 ホテル&リゾート事業については、観光立国の国策も背景に、中長期的な成長産業と位置付ける。本年春に開業予定の『翠嵐 ラグジュアリーコレクションホテル 京都』をはじめ、奈良への国際級ホテル誘致など、訪日外国人の増加や観光産業の振興に資するホテル事業を展開していく。

 前回の東京五輪後の景気悪化など、五輪開催国の経済変動の歴史に鑑みると、長期的な展望の中では、2020 年の東京五輪開催後に、経済の崖を迎える可能性を視野に入れる必要がある。当社グループとしては、そうした中でも企業としての持続的成長を維持すべく、2020年までの中期的な戦略として、事業を積極的に展開することで企業体力を蓄えていく。

 国家的な転換期を迎える中、次代の日本や都市のあり方、グローバル社会における変化の流れを見据え、必要な都市資産を提供していくとともに、企業としても、社会・国家の変化に呼応できる柔軟な企業体質を構築していく。

■(一社)プレハブ建築協会会長 和田 勇氏

 謹んで新年の御挨拶を申し上げます。
 昨年は、株価が7年ぶりに18,000円台を記録し、また為替も120円台まで回復するなど「アベノミクス」の推進により日本経済も正常な姿を取り戻しつつあります。「成長戦略」につきましては、一朝一夕に結果が出るものではなく、今後国の政策と相まって我々企業側も各々が持続的な努力を重ねることで、第3の矢がしっかり的を射抜くものと思われます。

 昨年4月の消費増税の影響もあり、住宅受注につきましては非常に苦しい一年となりました。一昨年の10月から始まった反動減は予想よりも厳しく、なかなか改善に向かいませんでしたが、足元、反動減の影響も少しずつ和らぎ、回復の兆しが見られるようになって参りました。今後、住宅投資が順調に回復していくためにも、27年度の税制改正につきましては期限到来の特別措置の延長、更には各種住宅関連予算の拡充などが住宅需要の下支えにつながることを期待しております。特に住宅取得の贈与税非課税枠の延長は不可欠であり、1,600兆円あると言われる個人金融資産の流動化、そして一次取得者の住宅取得支援のためにも、是非とも3,000万円への拡充が求められるところです。

 また、今年10月に予定されていた消費税率10%への引き上げについては、1年半先送りされることになり、それに合わせて軽減税率の適用も検討されることとなります。永年住み継がれる住宅は消費財ではなく「社会資産」であります。この点を十分踏まえて住宅についても軽減税率を適用して頂くことをお願いすると共に、住宅税制の抜本改革についても積極的に働きかけて参りたいと思います。

 昨年も日本列島は多くの災害に襲われました。広島における局地的豪雨に伴う土砂災害や御嶽山の噴火による災害、また長野県北部を震源とした地震による被害など、被災されました多くの皆様におかれましては心よりお見舞い申し上げますと共に、被災地の一刻も早い復興を望みます。本年も当協会では、災害発生時の迅速な対応に向けた体制づくりに努めたいと思います。

 日本における総住宅数は、2013年10月現在6,063万戸あり、そのうち空き家は820万戸にのぼると言われております。また耐震性が不十分な建物は、現在なお1,000万戸あると言われております。省エネルギー性・耐震性を高めるリフォーム市場の活性化は既存住宅の価値向上につながり、中古流通市場の活性化を促します。両者の活性化はストック型社会の構築に向け喫緊の課題であります。

 我が国は、人口減少、少子高齢化社会、環境問題、エネルギー制約など様々な社会問題に直面していますが、その解決の中心に位置するのは間違いなく、人々が集い社会の基盤となっている「住宅」であります。そのような意味で、我々住宅事業者はまさに「社会資産」を提供しているわけで、本年も住宅を通じて社会貢献が出来るよう、会員の皆様と力を合わせて豊かな住生活の提供に向けた取り組みを推進して参りたいと思います。

 最後になりましたが、年頭にあたり会員各位のご健勝、ご多幸を心よりお祈りいたしまして、新年のご挨拶とさせて頂きます。

※※※

 5日分の「2015年 年頭挨拶」はリンク先参照(業界団体等各社)。

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