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2015/3/23

宮城県女川町中心部の整備が完了。JRも運転再開し「まちびらき」

再建されたJR石巻線「女川」駅舎前でのテープカット。石巻線は、東日本大震災の津波で被災したJR線の中で、最も早く全線復旧にこぎつけた。新駅舎内には、温浴施設「ゆぽっぽ」も併設されている
再建されたJR石巻線「女川」駅舎前でのテープカット。石巻線は、東日本大震災の津波で被災したJR線の中で、最も早く全線復旧にこぎつけた。新駅舎内には、温浴施設「ゆぽっぽ」も併設されている
「復興を通じてまちに新たな価値を生むことこそ、皆さまのご支援や震災で亡くなられた方々の無念に応えることだ」と決意を新たに挨拶した、女川町長の須田善明氏
「復興を通じてまちに新たな価値を生むことこそ、皆さまのご支援や震災で亡くなられた方々の無念に応えることだ」と決意を新たに挨拶した、女川町長の須田善明氏
15年度中に、女川駅を中心に地域交流センター、テナント型商店街などが順次オープンする。すでに基盤整備が終わり、建物を建設できる状態
15年度中に、女川駅を中心に地域交流センター、テナント型商店街などが順次オープンする。すでに基盤整備が終わり、建物を建設できる状態

 東日本大震災による津波で甚大な被害を被った宮城県牡鹿郡女川町の中心となるJR石巻線「女川」駅とその周辺(女川浜エリア)の基盤整備が完了。同線の運転開始に合わせ、21日同駅で「まちびらき」イベントが行なわれた。

 同町は、震災により最大高さ14.8mの津波に襲われ、320haが浸水、住宅約3,900棟が損害を受けた。死者・行方不明者数は837名。JR女川駅とその周辺の商店・住宅は津波で流され、JR石巻線は震災直後から不通。2年前に1つ手前の浦宿駅まで運行再開したものの、女川駅まではバス代行となっていた。

 そこで、町の中心部の早期復興と、JR線の早期復旧を図るべく、同町は(独)都市再生機構とJR東日本とそれぞれ提携を行ない、駅周辺の復旧工事と土地区画整理事業を加速させてきた。

 今回、工事が完成したのは、女川駅周辺の19.4haと、石巻線浦宿~女川間2.3km。女川駅は地盤を約7メートルかさ上げし、その上に新駅舎を建設。駅舎は地上3階建て。前駅舎時代から駅に隣接し、町民のコミュニティ空間だった温浴施設「ゆぽっぽ」を、新駅舎内に再建した。石巻線は、震災前同様、1日11往復が発着する。

 このほか駅周辺には、町内外の人達の交流施設「ヒューチャーセンター」が28日にオープンするほか、物産センター、町民によるテナント型商店街、地域交流センターが、2015年度中に順次オープンする。また、駅を取り囲むように公営団地や新庁舎、子育て支援センターなどが15~16年度にかけ整備される。

 まちびらきイベントには、復興大臣の竹下 亘氏、宮城県知事の村井嘉浩氏、都市再生機構理事長の上西郁夫氏、国土交通省審議官の武藤 浩氏をはじめとした多数の来賓が参加。多くの町民も駆けつけた。参加者の前で挨拶した女川町長の須田善明氏は「日本全国や海外からさまざまなご支援をいただき、今日のまちびらきを迎えることができた。多くの皆さまのご支援に感謝したい。年内には海側のエリアにも建物が建ち、商店街ができ、住宅地の供給も始まる。復興工事の進捗率はまだ4割に満たない。本格復旧にはまだ数年を要するが、復興を通じてまちに新たな価値を生むことこそ、皆さまのご支援や震災で亡くなられた方々の無念に応えることだと思う。明日からまた、全力で復興に努力したい」と語った。

 来賓として挨拶した竹下大臣は「女川町にとって、今日はふるさとの魂を取り戻す大事な一歩となる。新たなまちを作り上げるため努力されてきた皆さんに感謝したい。女川の復興は、世界中からも注目されている。津波でまちのほとんどが流された女川が、世界に誇るコンパクトシティ、世界に誇るふるさととして再生するため、これからも継続的な支援を行なっていきたい」と激励した。

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