不動産ニュース

2015/4/2

不動産各社で入社式(2)

 新年度を迎えた4月1日、不動産各社が新入社員を迎え、入社式を執り行なった。
 各社入社式での社長挨拶の要旨は、以下の通り(順不同、敬称略)。4月1日付のニュースも参照のほど。

■東急グループ代表(東京急行電鉄(株)取締役会長) 越村敏昭氏
■日本土地建物(株)代表取締役社長 平松哲郎氏
■(株)LIXIL 代表執行役社長兼CEO 藤森義明氏
■(株)センチュリー21・ジャパン代表取締役社長 猪熊茂男氏

■東急グループ(東京急行電鉄、東急不動産(株)、(株)東急コミュニティー、東急リバブル(株)など47社)代表(東京急行電鉄(株)取締役会長) 越村敏昭氏
※東急グループでは首都圏の会社を中心に合同で入社式を開催している。

 東急グループは、「美しい時代へ」というスローガンの実現に向けて、交通事業を基盤とした街づくりに、不動産事業、生活サービス事業、ホテル・リゾート事業、建設事業など、お客様の生活に密着した幅広い分野で事業を展開しています。

 本日より皆さんには、このように多岐にわたる事業の、大切な一部を担っていただきます。仕事に携わる上で、「安心」と「信頼」という2つのキーワードを心に留めていただきたいと思います。東急グループに対して、お客様や社会から寄せられる「安心」と「信頼」は、諸先輩方が長い年月をかけて築き上げたものです。時代とともに、お客様が求める商品やサービスは変わりますが、全ての事業の基盤が「安心」と「信頼」にあることは不変です。皆さん一人一人が、この「安心」と「信頼」を肝に銘じつつ、これから東急グループ社員として、社会的責任を果たしていただきたいと思います。

 入社当初は、上司先輩の指導に従って、確実に業務を進めることから始まりますが、職場でのコミュニケーションを通じて、周りとの意思疎通を図り、のびのびと実力を発揮することを期待します。こうして磨かれるコミュニケーション能力や、情報やデータに基づく分析力、そして、最後までやり通す芯の強さは、今後困難な課題にぶつかったとき、大きな力となります。このような能力は、一朝一夕に身につくものではありません。成功や失敗を積み重ねながら培っていくものであり、こうした、いわゆる「人間力」を兼ね備えた人材が、将来の東急グループを切り開いていくことになります。

 我が国は、先進国でも前例のないスピードで進む少子高齢化と、それに伴う生産年齢人口の減少により、これまでの消費の拡大を前提としたビジネスモデルが見直しを迫られる、大きな変革期の中にあります。一方で、東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定し、官民挙げての諸施策の推進もあり、訪日外国人客は年々増加を続けるなど、新たな市場が形成されつつあります。こうした時代の変化に的確に対応するためには、皆さんが「人間力」を培い、グローバルな視野に立って、新しい分野に挑戦していくことが大事です。

 東急グループが、これまで蓄積してきた街づくりのノウハウを生かし、成長著しいベトナムや、インドネシアなどで、それぞれの国の発展の一翼を担う、新たな事業に挑戦しているのは、その一例です。

 皆さんが、これからのかけがえのない人生を有意義に過ごし、大いに成長され、そのことが東急グループの成長にも繋がることを心より願っています。

■日本土地建物(株)代表取締役社長 平松哲郎氏

 不動産業界は、東京オリンピックの開催や、世界的な金融緩和の実施、企業業績の回復といった効果から、オフィスやマンションの需要は堅調に推移しております。しかし、追い風ばかりかというと、必ずしもそうではありません。資材価格の上昇や、建築現場での労働力不足など負の側面もあります。また、大規模自然災害対策やBCP対策、お客さまの要求水準の高まりもあり、マーケットにおける選別や競争もますます激化している状況にあります。

 本日から日土地グループの社員となり、これから社会人としての基盤づくりに入る皆さんに、心構えとしてお願いしたいことが3つあります。
 第一は「主体性を持つ」ということです。言われたことをそのとおりにやる受け身型の社員と、自ら目標達成のためのシナリオを描き、実行し成果をあげていく能動的な社員では、成長に大きな差がでることを強く意識してほしいと思います。

 第二は「失敗を恐れずに積極的に挑戦する」ことです。若手のうちは、「知らない」「失敗をする」ことは恥ではありません。失敗してしまっても次の行動の糧としてください。「身の丈を超える」ものに果敢にチャレンジすることでプロとしての土台が固まり、幅が広がります。

 第三は「『あなたのためなら」と周囲に思わせるような人間になる』ことです。総合不動産会社の果たす社会的役割は、益々大きくなります。都市を守り、人の命を守る、そして形に残る、大変やりがいのある、夢のある仕事です。一方で、不動産ビジネスはその規模や関係者の多さから様々な難しさをはらんでいます。こうした中で決め手となるのは「人間性」「仕事への真摯な姿勢」「熱意」です。これが関係者を、そしてプロジェクトを動かします。

 皆さんには「日土地グループ」の一員として、一つひとつの仕事に「熱い想い」をのせて取り組んでいただき、ゆくゆくは「あなたのためなら一肌脱ごう」「あなたが力を注ぐプロジェクトであれば自分もぜひ加わってみたい」と周囲の人に思わせる、熱意と魅力あふれる人になっていただきたいと思います。
 皆さんにぜひお願いしたいのは、10年、20年先の自分と会社の関係を思い描きながら、全体感をもち、自己啓発も含め、長期的展望をもって頑張っていただきたいと思います。

■(株)LIXIL 代表執行役社長兼CEO 藤森義明氏

 皆さん、入社おめでとうございます。

 皆さんは、これまでのLIXILの歴史の中でも、最もエキサイティングで大きな飛躍を迎える時期に入社します。まさに今日、LIXILはBuilding, Housing, KitchenそしてWaterという4つのテクノロジー事業と国内事業からなる新事業モデルで、真のグローバル・カンパニーとしてスタートするのです。

 LIXILは世界150カ国で商品を展開しており、世界中に約8万人の従業員がいます。浴室・水栓金具の事業では世界第一位の会社です。また、シドニーのオペラハウスやロンドンのザ・シャードといった象徴的な建物において、建築家の夢を形にするサポートを行っています。そしてここ日本では、LIXILはお客さま、そしてお客さまの住生活のニーズに応えるための「トータル・ソリューション」を提供できる、業界唯一無二の会社なのです。

 今日は、皆さんのキャリアにおいて「初日」つまりDay Oneとなりますが、グローバル・カンパニーとしてのLIXILも同じくDay Oneを迎えたのです。
 これは皆さんにとってどういう意味があるのでしょうか。少し未来のことを想像してみてください。

 2050年には、90億人が食料、衣服、交通、雇用、そして教育を必要とするでしょう。LIXILは日本で最もグローバルな会社となり、地球を救い、人々の生活をより快適にする「リビング・テクノロジー」を開発するリーダーとなります。デジタル社会によって、24時間、常に世界中の人々が密接につながる、境界線のない世界となります。誰もが情報をすぐに入手できるようになるでしょう。
 「AI」、すなわち人工知能が多くのオフィスでの仕事を担うようになります。ロボットは工場だけではなく、家庭内でも使われるようになることでしょう。

 このような未来の世界で勝つには、皆さん一人一人が日本だけではなく世界で戦える人間になる必要があるということです。この未来で、自分のポジションを築くために、次の3つのことを行ってください。

1つ目:英語をマスターすること。

 グローバル・ビジネスで必要な言語を学んでください。英語のスキル上達への投資を始め、一生使えるように磨きをかけてください。私自身、英語の勉強を始めたのは20代後半ですが、今でも毎日学んでいます。私が人とは違う考え方をし、世界との議論に参加できるのも、英語によって広い世界に直接アクセスすることができるからなのです。そして、皆さんの子供にも複数の言語を使いグローバルの文化を理解する人間になるよう育ててください。

2つ目:世界を見ること。

 日本を越えて世界を見て、経験して、実際に感じてください。どういうことかというと、毎日ニュースを読んでほしいのです。日本で何が起こっているか、ということだけではなく、世界のニュースにも目を向けてほしいのです。日本内外の社会、技術、政治、経済などあらゆる分野で何が起こっているのかに、常に敏感でいてください。

3つ目:デジタルのプロになれ。

 さきほど未来の世界がデジタル世界になるという点について触れましたが、デジタルを使いこなし、デジタルが自分の仕事や生活をいかに変えるかを理解してください。人工知能によって動くデジタル世界で、人間の知能は何ができるのかを理解するために時間を使い、その知識を使ってイノベーションを起こしてほしいのです。いかに皆さんが働き考えるか、ということから、次の新商品の設計方法まで、イノベーションの機会は様々です。

 さあ、今日から、前途に満ちたエキサイティングな未来が皆さんを待っています。できるだけ早く、そして積極的にLIXILの変革に参加してください。
 グローバルな考え方を持つ、とはどういう意味か、学び、そして理解してください。今日、この日からグローバルな人間としての行動をとり、未来の世界を生きてください。
 以上、3点を常に心に留め、皆さんがLIXILでキャリアを築いていくための礎としてください。あらためて、LIXILにようこそ。皆さんと一緒に働くことを楽しみにしています。

■(株)センチュリー21・ジャパン代表取締役社長 猪熊茂男氏

 皆さん、入社おめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。いよいよ、これからが本番です。社会人としての心構えは十分にできているでしょうか?未知の世界ですから、なかなか想像しにくいとは思いますが、我々もみんなそのときがあって、今こうしているのですから、そんな難しい話ではないと、楽観的に考えて下さい。皆さんはセンチュリー21グループの会社の社員です。中には社内で唯一の新卒社員という人もいるでしょう。しかし、見まわしてわかるようにグループにはこれだけの仲間がいるのですから、困ったことがあったら、この仲間に相談してみて下さい。是非、同じグループの仲間として、お互い助け合うという気持ちを持ち続けてもらいたいと思います。

 今、この業界は変革の時代に突入しています。JCに参加された方もおられるでしょうから、概略理解されている方もおられると思いますが、日本全体は少子高齢化が進むことは間違いありません。経済関連の統計予測が時おり間違えることはありますが、この少子高齢化傾向は間違いようがありません。従い、この不動産流通業界に限ったことではありませんが、我が業界の全体のパイが小さくなることも間違いないわけです。その中でどのように勝ち残っていくかが今試されているのです。ITにしても、どうやったらこの業界で優位性を確立していけるのかなど、様々な課題がたくさんあります。そういった中で、若くそして柔らかい頭脳をもった皆さんにそれぞれの会社が期待しているのだと思いますし、私ども本部としても期待しています。

 さて、社会人になって大事なことを三つ申し上げます。第一番目は健康です。これは肉体的にも精神的にも両方健康体であることが必要です。社会に入って、身体は丈夫だけど、精神を病んでしまう人を多くみかけます。そういう人の多くは自分だけでストレスをためてしまっている人に見られます。心の中を正直に話ができる人・仲間がいればきっとそういうこともなくなると私は思っています。ですから、先ほど申し上げた通り、仲間を大切にして下さい。

 二つ目は好奇心です。何にでも好奇心をもって下さい。とるにたらない日常の様々な出来事にもいろいろ学ぶべき点、或いは思考方法の鍛錬につながることがあります。何故、日本人はこんなに桜が好きなんだろう?何故、日本のアニメは世界を席巻したのだろうか?何故、何故、ということを考えることでたくさんの引き出しを自分が持てるようになります。知らず知らずの内に自分の判断基準がそういうことを通じてできてきます。好奇心、これを忘れないようにして下さい。

 三番目は失敗を恐れるなということです。若いうちはたくさん失敗して下さい。失敗は成功の母と云う言葉があるように、失敗することで学ぶことができるのです。本当に強い人というのは、倒れない人ではなく、倒れても倒れても立ち上がる人なのです。倒れなかった人より、立ち上がった人の方が強い。何故なら立ち上がった人は何かをつかんで立ち上がる人だからなのです。七転び八起き、七転八倒ではありません。起き上がらなければいけません。こういう入社式のように緊張している時の話は覚えられないのが普通です。私がそうでしたからよくわかっています。語呂合わせでいうと健康・好奇心・心配するな失敗しても。こんな風なら覚えられるでしょう。

 最後になりますが、あとで一枚のペーパーを渡します。中国の故事で、私の座右の銘の「人間、万事塞翁が馬」というものです。悪いことがおきてもそれでめげるのではなく、それがきっと良いことにつながるのだということです。くよくよするな、ということで私はいつもこの言葉を胸においています。皆さんの将来が明るい未来であることを願って挨拶とします。

 本日はおめでとうございます。

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