大和ハウス工業(株)は、津波の災害に備え、階段室屋上に緊急避難スペースを設置した3階建て賃貸住宅「セジュールオッツW-ev(ダブリュー-イーヴイ)」を、9月1日に発売する。
今後発生が予測されている南海トラフ巨大地震などに備え、海岸や河川敷近くの平野部に住む人が一時的に避難するスペースを確保するために開発した。各地方自治体が公表している津波ハザードマップのデータを基に、浸水深5m以下のエリアを対象に販売する。
階段室を高さ約10mの鉄骨ラーメン構造の「W-evタワー」とし、屋上部分の避難スペースの広さを確保するために、避難する階段は螺旋階段とした。万が一、賃貸住宅部分が津波で倒壊・流出した場合でもタワーが残るよう強度を高めた。屋上部分には避難した入居者をヘリコプター等から視認しやすくするために、緊急避難を知らせるSOS幕や発煙筒等を完備するボックスを設置する予定。避難スペースは約16平方メートル、35~50名が避難できることを想定している。
居室内の間仕切りは、水圧を受け流すことができるよう「クラッシャブル間仕切壁」を採用。居室内に入り込んだ水の圧力によって壁が解体される。また、押し寄せる漂流物から建物が受ける衝撃を軽減するため、敷地内に「くの字」型の「漂流物ブロックウォール」を設置。普段は子供たちの遊び場や駐輪場として利用できる。
17日会見した同社取締役常務執行役員の堀 福次郎氏は「公表されているハザードマップを見ると、地震発生から10、20分で津波が到達する場所が多く、近くに避難場所や高台がないと逃げることが困難になる。そこで、賃貸住宅の共用部分を避難場所にすることを提案した。関東から九州にかけて太平洋沿岸部が大きなマーケットになるのではないか」などと述べた。
販売価格は、セジュール オッツ本体工事価格が坪当たり42万8,000円台~(税込み・階段室タイプ)+W-evタワー600万円~/箇所(税込み)。販売目標は年間200棟。