


小田急電鉄(株)と(株)ブルースタジオは、小田急小田原線「座間」駅前にある社宅をリノベーションした「ホシノタニ団地」(神奈川県座間市、3・4号棟・55戸)を竣工。23日、報道陣に公開した。
小田急電鉄が保有する4棟の社宅のうち3号棟(1965年築、28戸)と4号棟(70年築、27戸)を改装した。鉄筋コンクリート造地上5階建て。延床面積2,466平方メートル。
建物の老朽化に伴い、半数以上が空室となっていたことから、小田急電鉄は同地の高度利用を検討。再開発も視野に入れたが、賃料相場の低いエリアのため、団地再生の実績のあるブルースタジオに企画・設計監修を依頼し、既存施設を生かしたリノベーション計画を5年ほど前から進めてきた。国土交通省の「住宅団地型既存住宅流通促進モデル事業」にも採択されている。
「ホシノタニ団地」という名称は、同地にある古寺の一つの「星谷寺(しょうこくじ)」に由来したもの。建物外観にも、春夏秋冬を意識した星座のモチーフを描いた。ブルースタジオ専務取締役の大島芳彦氏は「その土地にあるアイデンティティを意識し、個性を出すことが重要。当団地を中心に駅一帯で交流が生まれるよう、座間のランドマークとなることを目指す」と話す。
団地特有のゆとりある空地を生かし、貸し農園、ドッグラン、丘を造作。また、座間市と協力し、4号棟1階には子育て支援施設が入居。3号棟1階にはコミュニティカフェやオープンキッチンを取り入れた。駅前立地であることから、すべての共用部は入居者だけでなく地域住民が利用できるオープンな空間として運営していく。すでに農園や子育て支援施設は稼働しており、高い反響を得ている。
建物では、3、4号棟はラーメン構造で耐震性能が足りていなかったことから耐震補強を実施。専有部は間取りを2DKから1LDKに変更し、設備の刷新や表面材の変更など施工箇所を絞り、コストを抑えてリノベーション。1階にはウッドデッキや専用庭を設けている。
専有面積37平方メートル。家賃は7万~9万5,000円。6月上旬から募集開始し、1~2人世帯を中心に16戸が申し込み済み。今後、28日に開催するイベントなどを通じて、募集を本格化する。
なお、1、2号棟は現在改修工事中で、座間市が15年間借り上げ、10月より市営住宅として運営していく方針。内装は原状回復程度にとどめるが、外観デザインは統一する予定。