国税庁が1日発表した「平成27年分 路線価」について、業界団体・企業のトップから、以下のようなコメントが発表された(順不同)。
(公社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 伊藤 博氏
(一社)不動産協会 理事長 木村惠司氏
三井不動産(株)代表取締役社長 菰田正信氏
三菱地所(株)取締役社長 杉山 博孝
今回の路線価の結果をみると、昨年度と比較して最高路線価が上昇した都市は21都市、横ばいの都市は14都市(平成26年分は上昇18都市、横ばい8都市)となり、昨年に比べ上昇した都市は3都市となった。
また、平成27年分の全国平均値においては、昨年度に引き続き下落となり厳しい状況が続くものの、首都圏等は10都府県で上昇(平成26年分より2県の増加)を示す結果となったことは、今後の更なる地価上昇を期待させるものである。
去る5月に、空き家対策特別措置法が施行されたが、今後は、税制面を含め政策要望を行なうことにより、空き家を含む中古住宅流通市場を活性化させ、地方においても地価が上昇に転じるよう、継続した経済政策を望むものである。
また、今後予定される消費税増税により、住宅市場が落ち込まないよう、住宅に対する軽減税率の適当等、効果的な要望活動を行なっていく所存である。
今回発表された路線価では、標準宅地の評価基準額の全国平均は昨年に続き下落したが、下落幅は縮小しており、東京都や大阪府では上昇幅が増加するなど、我が国経済が緩やかに回復する中、三大都市圏を中心に地価の回復傾向が持続し始めていると評価している。
少子化・高齢化を伴う人口減少社会の進展が予想される中、こうした回復傾向をより確実なものとし、デフレからの脱却と持続的な経済成長につなげるためには、大都市の国際競争力の向上や良質な住宅ストックの形成が不可欠であり、成長戦略のさらなる加速化が求められる。
我々としても、2020年の東京五輪やその先も見据え、世界で最も魅力ある都市の構築や豊かな住生活の実現に向け、貢献して参りたい。
平成27年の路線価では、昨年に引き続き三大都市圏を中心として上昇基調を維持している。また、全国の平均値は昨年に引き続き下落しているが、下落幅は縮小している。
首都圏のマンション市況については、供給量の前年割れが続いているものの、都心・湾岸物件を中心に販売は好調で、低金利等を背景に顧客の購入マインドは高い。今後も、雇用や所得の改善もあいまって、市場は引き続き堅調に推移していくとみている。
オフィスビルについては、好調な業績を背景として企業の事務所拡張と移転の動きが引き続き活発で、東京都心のオフィス空室率低下と募集賃料の上昇が続いている。また地方都市においても、拠点拡充の動きなどから空室率の低下が進み、全国的にオフィス需要が高まっている。BCP対応への意識の高まりにより防災・省エネ対策に優れたビルへのオフィス移転ニーズは引き続き高く、今後も企業業績の向上や人員増加によりオフィス需要の拡大が続くとみている。
不動産投資市場においては、実体経済の回復やオフィス賃料上昇等を背景として、海外勢を含む投資家等の意欲が引き続き高く、企業の不動産取引はリーマンショック以前の高い水準となっている。
当社グループにおいては、民間企業が成長の牽引役を担うとの認識のもと、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年やその先を見据え、新たな需要を創造しながら、世界から人材、情報、投資が集まる魅力ある「街づくり」を通して日本の国際競争力の強化に一層貢献していきたい。
平成27年の路線価等は、全国21都市で最高路線価が上昇したほか、標準宅地の評価基準額の全国平均でも下落幅が縮小するなど、地価の回復をよりはっきりと感じることができるようになった。
当社オフィスビル事業においても、事務所拡張需要の顕在化により空室率が低下し賃料の改善が見られる。旺盛なオフィス需要を受け、本年3月末時点の東京・丸の内における空室率は、5年ぶりに2%を切った。賃料についても空室率の改善を受け、引き続きゆるやかな上昇傾向が継続している。
本年11月に竣工する「大手門タワー・JXビル」は満床で稼働スタートするほか、来年4月に竣工予定の「大手町フィナンシャルシティ グランキューブ」の内定率は5割に達している。これらの開発事業では環境面・防災面の施策にも注力しているが、こうした安心・安全な街づくりを通じて、都市の魅力を高めるべく努めていきたい。
当社グループの運営管理する商業施設やホテルでは、訪日外国人の増加により、売上増加につながっている。住宅事業においては、好調な株式市場、景気の回復等を背景に、分譲マンションの取得需要は引き続き旺盛で堅調に推移している。「本当に良いものにはお金を払う」顧客が増えてきているとの実感がある。
これからも、当社事業を通じて、良質な住宅供給・ストック活用に貢献していきたい。