不動産ニュース / 調査・統計データ

2015/7/16

CRE戦略の重要性と課題について提唱/JLL調査

 ジョーンズ ラング ラサール(株)は16日、調査レポート「日本企業のCRE推進に関する調査&JLL日本企業CREインデックス2015年」を発表した。

 同レポートは、JLLがグローバル企業を対象に隔年で実施している「企業不動産のグローバルトレンド調査」の中から、日本企業の回答を分析し、日本企業の傾向を独自にまとめたもの。同調査は、世界36ヵ国、544名のCRE担当者を対象に、CRE部門の体制、経営トップのかかわり方や理解度、CRE戦略と企業戦略との整合性などについて調査を実施、日本は31社が調査対象。

 CRE部門の成果として経営トップが最重要視しているのは、「コスト削減」が86%でトップ。資産価値(29%)、利益(25%)と続き、資本効率の戦略指標であるROAは21%、ROEはわずか4%に留まった。グローバルでは不動産をコストと捉えるより事業利益を生む資本と捉え、ROAやROEを重視する考え方が強まっているが、日本企業は、経営層のCRE推進における資本効率改善の認識がいまだ低いことが明らかとなった。

 また、日本企業の60%以上が、CRE部門への権限移譲について2013年以降変化していないと回答。一方、グローバルでは、70%以上が権限移譲について、「とても強くなった」「強くなった」と回答。グローバル企業と比較し、日本企業のCREの権限移譲の遅れがCRE推進力の弱さにつながっていることが分かった。

 日本におけるCREの価値向上を阻む要因としては、「分散したCRE機能」、「経営トップからの支援/コミットメント欠如」、「広範囲にわたる事業部門との連携の欠如」が挙げられた。グローバルでは「財務上の制約」が最大の要因となった。

 16日の説明会で挨拶した同社代表取締役社長・河西利信氏は「日本企業は総資産のうち不動産の占める割合が20%強と、欧米企業の10%弱に比べて高いが、CREの取り組みは欧米に比べて遅れている。しかし、これまで外資系が中心だったCRE関連サービスについて、日本企業からの問い合わせが増えている。コーポレート・ガバナンスの強化が要因となり、不動産を扱うCRE部門が重要になっていると感じている」などと述べた。

 同社はレポートを踏まえ、日本企業のCRE部門が今後進むべき進路について「強いCREチームづくりが必要で、より戦略的で事業に連動した実施ができるように、CRE推進体制を整えることが課題」とした。そのためには、「経営トップは経営戦略のブレークダウンコミットメントと権限委譲を実施するなどが重要」と結論付けた。

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