不動産ニュース / その他

2016/2/9

杭工事データ偽装問題で社内中間報告書を公表/旭化成

データ流用の経緯について説明する柿沢氏(写真左)
データ流用の経緯について説明する柿沢氏(写真左)

 旭化成(株)の社内調査委員会は9日、旭化成建材(株)が施工した杭工事の施工データ流用の問題に関する中間報告書を公表、都内で記者会見した。

 対象となった過去物件3,052件中、360件でデータ流用が判明。流用のケースでは、電流計データの記録紙をコピーし、波形を切り貼りして組み合わせたり加筆したりする方法や、他の杭データをコピーして一部については数字を書き換える等の手法で行なわれていたことが判明した。

 また、360件のほかに、旭化成建材の営業部長がデータ流用を把握しながら、ボーリング調査や周辺調査によって安全確認し、個別のレアケースとして処理した事例も2件、施主と元請のトラブルの中で流用が発覚し、旭化成建材の社長にも報告されたが、トラブル処理の中で流用問題が見過ごされてしまったケースが1件あった。旭化成執行役員・柿沢信行氏は、「こうした例が発覚した時点で調査すべきであったという反省はある」と語った。

 これら流用が発生した原因については、流量計のスイッチ入れ忘れ、管理不備によるインク切れなどの操作・管理ミスなども発生し、データ欠落がそもそも発生しやすい状況であったことを挙げた。

 さらにデータ欠落が発生した際の対応ルールが未整備であり、流用を防止するためのチェック体制も欠落していたこと、現場責任者に施工データを軽視するような風潮があり、現場責任者も元請建設会社などにデータ欠落を報告しにくい環境にあったこと、旭化成建材の社内でも、専門性の高さから杭事業部門が半ば孤立していた点も、社内での情報共有が上手くいかなかった要因だとも分析した。

 旭化成建材(株)の管理面においても、データ欠落が発生する可能性があることが把握できておらず、対応策を用意していなかったことも問題だったとしている。

 再発防止に向けては、施工データの確実な取得・管理、データ欠落時の対応ルール策定、管理体制の構築、現場責任者・作業員への教育、旭化成建材社内へのコンプライアンス・倫理教育を通じての意識向上などを挙げた。

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