(一財)森記念財団は16日、第4回都市ビジョン講演会「成熟都市の街づくり ~街をつくること、育てること」を開催した。
同財団都市整備研究所が昨年発行した調査研究報告書「東京マチナカ・ライフスタイル」「ニューヨークの計画志向型都市づくり 東京再生に向けて」をもとに、今後オリンピック開催を控える東京が目指すべき都市づくり、ニューヨークを参考としたレガシーのつくり方などを、それぞれの書の研究・執筆に携わった首都大学東京特任教授・の本保芳明氏と同財団主任研究員の園田康貴氏が解説した。
本保氏は観光立国の推進が重要とし、「国際都市のあり方として外国からの集客力が重視され、その競争も激化している。観光交流を促進することで、国際都市のブランド力を上げ、輸出業など他の産業にも好影響を及ぼすことができる」と述べた。また、オリンピック開催に伴う最大の経済効果は観光で、シドニー五輪では開催前後10年間の経済効果の50~60%に相当すると示した。
東京のブランド力は、「心地良い安全なまち」や「おいしくて健康な食文化」「ユニークでこだわりの文化・流行」といった“ライフスタイル”にあるとし、同氏は「訪日外国人に対して、ユニークで刺激的な日常を楽しめるスタイルを提供することが重要」と話した。
園田氏は、2001年以降ブルームバーグ市長の政策によって、世界でも有数の国際都市に発展したニューヨークのまちづくりから、東京の都市づくりの参考になる点として「高技術力で高学歴の専門家が市政へ参加」「大規模な公共投資の実施」「主要部のオープン(広場)化」などを挙げた。
同財団理事長の小林重敬氏は「近年、インバウンド需要の増加などで東京を訪れる訪日外国人が急増している。20年の東京オリンピック開催を契機に、成熟期を迎えた東京の国際力強化は重要。今回発表する研究内容ではその都市のあり方を示した」などと述べた。