

日本建築学会 住まい・まちづくり支援建築会議は26日、千葉大学にて
「団地型マンションの建て替えの方法と課題」をテーマにしたセミナーを開催した。
住まい・まちづくり支援会議とは、住まいまちづくりに関わる活動の支援を目的に設立された、日本建築学会の会長直属の会議体。
冒頭、挨拶に立った、千葉大学名誉教授で同会議委員の服部岑生氏は、「千葉市は日本で最も団地が多い地域で、高経年の団地も多数存在する。そこで、本テーマのシンポジウムを千葉で最初に開催しようという話になった」と開催の経緯を述べた。
初めに旭化成不動産レジデンス(株)マンション建替え研究所主任研究員の大木祐悟氏が、「団地型マンションの建て替えの現状と方法」をテーマに講演。団地の定義や建て替えをする際の要件、建て替えが実現した事例における成功ポイントなどについて分かりやすく解説した。なお、「都心部以外では、持ち出しなしの建て替えは大変困難。余剰容積を使用し、規模を大きくして余剰を販売するという手法についても、売れ行きが見込めなければ事業者は参加しない。一部土地を売却しての縮小建て替えなども選択肢としてありだが、それにはまちづくりの視点を入れないとエリアの価値下落にもつながる」と言及。良好な管理を進める中で、将来的な出口戦略を策定していくことの重要性についても示唆した。
続いて、NPO法人ちば地域再生リサーチの戸村達彦氏が、「西小中台団地」(千葉市花見川区)での取り組みについて講演。1972年入居開始、全37棟・990戸という規模を誇る同団地では、人口減少と共に高齢化が進み、住戸価格は95年からのわずか10年間で約4割下落したという。かつて一括建て替えの検討を進めたものの実現ならず、以降団地の再生に向けて、棟ごとの修繕、改修、建て替え等の検討を進めている状況について説明した。