不動産ニュース / 調査・統計データ

2016/5/16

不動産仲介会社の景況感、先行きに慎重な見方広がる/不動産流通研究所調査

 (株)不動産流通研究所は16日、2016年1~3月期の「地場の不動産仲介業における景況感調査」の結果を公表した。アットホーム(株)に研究委託し、四半期ごとに実施している調査。

 北海道、宮城県、首都圏、静岡県、愛知県、近畿圏、広島県、福岡県のエリアごとに前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出。DIは「50」が前年並みを示す。アットホームの全国不動産情報ネットワーク加盟店のうち、同一都道府県内で5年を超えて不動産仲介業に携わる2万4,133店の経営者や役員、管理職を対象にインターネットで調査。有効回答数は598店。

 16年1~3月の賃貸仲介DIは、北海道28.1(15年10~12月期比18.8ポイント下落)、宮城県42.5(同13.9ポイント上昇)、首都圏43.1(同4.5ポイント上昇)、静岡県44.6(同13.6ポイント上昇)、愛知県46.3(同8.2ポイント上昇)、近畿圏42.9(同0.1ポイント下落)、広島県44.7(同3.5ポイント低下)、福岡県39.5(同7.6ポイント下落)だった。全エリアで前年よりも業況は悪化しているという見方だが、宮城、首都圏、静岡県、愛知県では前期よりもDIは回復している。

 16年4~6月期の見通しDIは、北海道46.9、宮城県30.0、首都圏37.9、静岡県41.3、愛知県38.8、近畿圏41.5、広島県38.2、福岡県38.2。おおむね前期よりも見通しDIは下がっており、全体的に慎重な見方が広がっている様子がうかがえる。

 不動産会社からは、「新入学生の入居が多い時期だが、年々地方学生の上京率が下がっているように感じる」(東京都八王子市)、「新築物件が多く建ち、築10年以上の物件の成約が厳しい」(埼玉県川越市)などといった市況の変化を指摘する声が上がっている。

 売買仲介DIは、北海道44.6(同2.9ポイント上昇)、宮城県40.0(同0.9ポイント下落)、首都圏45.4(同1.6ポイント上昇)、静岡県44.6(同5.1ポイント上昇)、愛知県39.5(同2.8ポイント下落)、近畿圏46.1(同4.9ポイント上昇)、広島県43.8(同9.8ポイント下落)、福岡県55.0(同3.8ポイント上昇)。福岡県で前期をさらに上回るDIを記録し、市場の好調ぶりがうかがえる結果に。このほか首都圏、近畿圏といった市場規模の大きなエリアでDIが前期よりも回復した。

 4~6月期の見通しDIは、北海道48.3、宮城県35.7、首都圏45.1、静岡県48.0、愛知県43.0、近畿圏46.4、広島県39.1、福岡県50.0。見通しDIが前期よりも上昇したのは3エリアと、慎重な見方が大勢を占めている。

 不動産会社からは、「投資用の顧客が増え、マイホーム探しよりも多い」(東京都新宿区)、「ユーザーの所得が上がらず、購入価格もかなり抑えめ」(東京都江戸川区)、「金利などの購入環境は良いはずだが、購入意欲が低い」(川崎市)など、景気の不透明感や先行き不安といった経済全体の不安定要因が不動産市況にも影響していることを指摘する声が多かった。

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