オフィスや店舗などの預託金保証を手掛ける(株)日本商業不動産保証は19日、ベンチャー企業の成長支援を推進する「次世代型出世ビル」プロジェクトの立ち上げを発表した。
同社は、企業が事務所や店舗を賃貸する際に預託する保証金を、保証料5%前後で半額保証するサービス「保証金半額くん」を展開。高額になりがちな保証金負担が半減することで、本業や人材採用などへの投資にコストをかけられるようになることなどから、ベンチャー企業に多く利用されている。ビルオーナーにとっても、同社が企業の審査をするほか、空室の解消につながるといったメリットがあるという。
ベンチャー企業の成長・規模拡大に伴って発生するコストの削減や課題解決についても複数の専門的な企業群がサポートする、今回のプロジェクトを同社が発案。同社の預託金保証をはじめ、大手通信会社によるインターネット環境整備、中古家具販売会社によるオフィス家具の調達など、各分野の専門企業が共同で支援していく。参画企業は同社と、第一勧業信用組合、(株)NTTドコモ、(株)E3、弁護士ドットコム(株)、協立情報通信(株)、(株)オービックビジネスコンサルタント。今後も多様な企業に対して参加を呼び掛けていくという。
同社によると、坪賃料2万円のエリアで床面積50坪のオフィスから100坪のオフィスに移転する際のコストについて、原状回復費や移転先の内装費、保証金等を合わせると通常は4,225万円と試算。同プロジェクトの支援を受けた場合は、保証金減額や什器の買い替えなどのコストが削減でき、約2,875万円まで削減できるとした。
この仕組みを導入するビルオーナー会社である(株)髙木ビル専務取締役の髙木秀邦氏は、「耐震性向上や省エネ性能アップは、最新ビルに盛り込まれ、差別化策にはなりにくい。中小ビルがどうやって新たな価値を創出するかが課題になっている。こうしたベンチャー向けのサービスを用意したビルが増えると共に、そうしたビルが集まって“出世村”のようなエリアが誕生してほしい」と語った。
同社代表取締役の豊岡順也氏は、「ベンチャー企業は成長に伴ってオフィスの拡張や通信環境、財務・法務など各方面で課題が発生する。そうしたことを各専門企業がサポートすることで、ベンチャー企業の育成に役立ちたい」などと述べた。
今後は、2年以内に都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)に、この仕組みに賛同してベンチャー企業の支援に積極的に協力する“出世ビル”を100棟用意する計画。東京での取り組みの進捗によって、地方中核都市への展開も視野に入れる。