(株)一五不動産情報サービスは8月31日、物流施設の不動産市況に関するアンケート調査の結果を発表した。7月20日~8月1日に、不動産関連の実務家・専門家にメールでアンケートを送付。有効回答は80件。
物流施設の不動産価格について半年後の見通しについては、「上昇」32.5%(前回=16年1月=調査比1.7ポイント減)、「横ばい」63.7%(同4.8ポイント増)、「下落」3.8%(同2.9ポイント減)。15年7月の調査までは、「上昇」が最多を占めていたが、前回調査より「横ばい」が最多になっており、物流施設価格の天井感が濃くなっている。一方でいまだ3割強が「上昇」と回答するなど、強気の見通しを崩していない。
「上昇」の理由については、「物流施設への活発な投資が続くため」という回答が23件で最多。次いで「資金調達回答が良好」が19件と前回よりも11件増えるなど、マイナス金利政策の影響が見て取れる。また、「横ばい」の理由については、「不動産価格が上昇局面に踊り場にさしかかるため」が35件と最多だった。
半年後の賃料水準の見通しは、「上昇」16.3%(同13.8ポイント低下)、「横ばい」61.2%(同2.3ポイント増)、「下落」22.5%(同11.5ポイント増)となった。「横ばい」が全体の約6割を占める状況は変わりないが、「下落」の回答割合が「上昇」を上回るなど、先行きへの懸念が広がっている。
「上昇」の理由は「ネット通販が需要をけん引する」が9件で最多。「横ばい」の理由は「荷主・物流会社の賃料負担力に変化がない」が34件で最多となった。また、「下落」の理由については、「物流施設の大量供給でテナント獲得競争が激化」という回答が、前回の2倍となる16件集まった。
業況判断DI(=「上昇」回答者構成比-「下落」回答者構成比)は不動産価格DIが28.7(同1.4ポイント上昇)となった。また、賃料水準DIはマイナス6.3(同25.5ポイント低下)となり、2010年7月調査以来のマイナスに落ち込んだ。