

物流不動産開発のグローバル企業、プロロジス会長兼CEOのハミード・R・モガダム氏とプロロジス日本代表取締役社長の山田御酒氏は12日に記者会見を開き、物流不動産のグローバルマーケットと日本国内での市場環境等についての見解を述べた。
モガダム氏は、同社が保有・運営・開発する物流不動産について、現在世界4大陸で3,347棟・6,200万平方メートル・利用顧客数5,200に達しているとし「物流不動産としては最大手で、時価総額は三菱地所(株)に肩を並べている」と語った。2016年第2四半期の稼働率は、12年比2.1ポイント高まり96.1%を記録。新規契約の賃料も、前年比2.5%上昇しているという。
その成長を牽引するのが、年率2ケタの成長を続けるEコマース企業。「EC企業は、当社賃貸契約の3割を占める。アメリカでの大型物流施設のシェアは30%と不足している。EC企業は、多彩な品揃えや返品への対応などで、店舗小売業の3倍の床面積を必要としている。日本も大型物流施設のシェアは3%に過ぎず、アメリカに次ぐ成長市場として期待できる」(モガダム氏)とした。
一方、日本市場では、83施設・547万平方メートルの物流施設を開発、このうち48施設・356万平方メートル(開発中含む)を自社で運営している。日本でも、テナントの約半分を占める3PL企業に次ぐ18%を占めるEC企業の成長に期待を寄せる。「長期的に物流量は減少するといわれているが、買い物難民化した高齢者はECに頼るようになるので、今後はより消費地に近い物流施設が求められる。また大規模災害を契機にグローバルサプライチェーンは在庫圧縮の考えを改めており、商品バラエティも増加している」(山田氏)。
今後も、首都圏・関西圏で消費地への高速道路アクセスに優れた環状道周辺での開発に注力していく。「アメリカほど大型物流施設のニーズはあるといえないが、先進的な施設で効率的なビジネスを経験すると、古い物流倉庫に固執する意味はない。一方で、開発適地は少なくなっており、複数の旧型倉庫を集約した再開発などが必要になってくる」(同氏)。