不動産ニュース

2017/8/22

京都市指定有形文化財の住宅を復原修復

戦前頃の長江家住宅外観(写真提供:立命館大学)

 (株)フージャースホールディングスと立命館大学は22日、フージャースグループが所有する京都市指定有形文化財長江家住宅主屋「北棟」の復原修復工事を開始すると発表。昭和50年代に内装改変されたものを改変以前の姿に戻すもので、明治から昭和期の町家の使い方や創建当時の姿を解明する記録調査を実施する。

 同社グループは、事業を通じた文化物の承継および地域社会への貢献を念頭に、2015年5月に同建物を取得。京都市が推進する景観的・文化的価値を有する京町家等の歴史的建築物の保存活用を図るため、これまで継続的に京町家や祇園祭船鉾、長江家住宅に関する調査研究を行なってきた立命館大学と連携協定し、京町家を保全・活用する産学連携に取り組んでいる。

 長江家は、代々呉服の卸を営んできた。長江家住宅は、2棟の主屋とその、後方に離れ座敷と化粧部屋、さらに土蔵2棟が並んで建っている。主屋北棟は1868年(慶応4年)築。通り土間と居室をひとつの屋根で覆う「通りにわ形式」の木造2階建て、延べ面積124.96平方メートル。1階の内装は現代的に大きく改変されているが、かつては土間に沿って1列3室が並ぶ間取りで、柱梁などの構造体や正面玄関はほぼ当初のままを保っている。

 今回実施する工事では、居室やトオリニワ等の、昭和後期に内装改変された部分を全て復原。京都市が今年4月より運用開始した、標準的な規模の京町家について、建築基準法を適用除外する際の技術的基準を利用する第1号事例となる。また、建物全体の工事では京都市指定有形文化財において2例目、京町家では初となる。

 改装後は、長江家住宅で開催される文化行事等に活用できる施設とする予定。また、工事の全工程は、同大学の映像学部と理工学部によって記録調査が行なわれ、京町家の建築構造の調査や保存活用の参考となるデータ取得を目指す。

 工事の完了は18年5月を予定。

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