不動産ニュース / 開発・分譲

2020/12/15

洋光台の団地に木造管理事務所棟/ナイス

建物中心部のフリースペースは、柱や越屋根を燃えしろ設計としたことで、あらわしとしている。最大天井高は6m超
建設中の建物外観

 ナイス(株)は15日、同社が施工を手掛ける木造建築物「洋光台南第一住宅管理事務所棟」(横浜市磯子区)を関係者に公開した。

 同施設は、1971年築の同団地(696戸)のシンボルだった給水塔(高さ40m、基壇部に管理事務所)を、老朽化に伴い解体。基壇部の管理事務所のみ再建するもの。同社は、(株)スタジオ・クハラ・ヤギ(建築設計監理)等とともに、同団地管理組合のプロポーザルに提案、2020年7月採択された。

 再建する建物は、木造軸組み平屋建て、延床面積約444平方メートル。管理事務所など4室のほか、新たに団地住民のコミュニティスペースとなるフリースペースや集会所7室を設ける。21年3月に完成予定。

 一団地認定適用区域内の建築のため本来は耐火構造とすべきところを、管理事務所中心の使途を踏まえ45分準耐火構造としている。主要構造部のうち、約70平方メートルのフリースペースを取り囲む360角のベイマツ集成材通し柱、越屋根の梁、13本のヒノキ集成材柱を耐火被覆をしない「燃えしろ設計」とし、完成後もあらわしとするのが特徴。越屋根の梁は直線材だが、斜めにかけ渡すことで三次元局面としている。防災拠点ともなるため、耐震等級2としている。フリースペースを6m超の高天井、あらわしとするため、床を二重構造として、床から温風・冷風を送る「床放射冷暖房システム」も採用した。コロナにより建築需要の減少を救済するため林野庁が実施している「過剰木材在庫利用緊急対策事業」により、外構部等の木材使用量に応じ補助を受けている。

 同日会見した同社取締役木造建設事業本部長の大場浩史氏は「ここにきて、木造建築を建設したいという相談がたくさん入っている。脱酸素社会、SDGsが叫ばれる中、木造建築は、環境・社会貢献、持続可能な社会の実現に不可欠なものとして、世間の見方も変わってきた。その普及に向け貢献していきたい」などと抱負を語った。

 会見では、同社におけるそのほかの木造建築に対する取り組みも発表。20年4月、子会社のナイスプレカット(株)に「ファーストコールセンター」を設置。木造建物を検討する施主に対し、企画図面やヒアリング内容から木造化の可否や躯体概算費用の提示などを行なっている。また、全国の建設会社やビルダー、資材販売店と連携し「ウッドビルディングネットワーク」を構築。全国各地での中大規模木造建築の普及を図っているとした。月に50件前後の相談があるという。

建物完成予想図。大きな越屋根を取り囲むギザギザの連続折れ屋根が特徴

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準耐火構造

建築基準において、壁、柱、床その他の建築物の部分の構造が、準耐火性能に適合する建築物の構造をいう。この場合の準耐火性能とは、通常の火災による延焼を抑制するために、当該建築物の部分に必要とされる性能のことである。

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