不動産ニュース / ハウジング

2024/1/25

日本初となる防火地域でのCLTログハウスが完成

完成した3階建てログハウス。耐火性の高いCLT材を外壁に使い90分の準耐火構造認定を取得したことで、防火地域で建築できた
国産桧の21cm厚のCLT材を互い違いに組むログハウス工法(直交する外壁材の高さが揃っていないのはそのため)

 (株)アールシーコアは24日、2023年12月に竣工した、CLT(直交集成板)材を使った木造丸太組工法による3階建て木造ビル(東京都福生市)を報道陣に公開した。日本では初となる防火地域での3階建てログハウスで、木造建物の新たな活用手法として、大型非住宅施設などで提案していく。

 竣工したのは、純電工(株)がアールシーコアに発注した3階建てログハウス。JR青梅線「牛浜」駅近くの防火地域に立地。敷地面積約261平方メートル、延床面積約564平方メートル。1階を純電工のオフィス、2・3階を賃貸住宅(8戸)として利用する。同日会見した純電工社長の髙橋 勲氏は「ログハウスを採用したのは、SDGsに少しでも貢献したいと考えたため。ログハウスでも工夫次第で立派にビルとしての機能を、高い次元で実現できることを証明できたと思う。国産木材を使った地産地消の循環型社会の先駆けになれれば」などと語った。

 外壁には、国産ヒノキの21cm幅のCLT材をあらわしで使用している。耐火実験により難燃性が認められたことで、「90分準耐火構造認定」を取得。防火地域では初めて3階建てCLTログハウスとして建築が認められた。外壁だけで基本的な耐震性も確保している。内壁は国産桧の12cm幅のCLT材を使用。断熱材なしに断熱性能を確保する。賃貸住宅は、フローリングや建具も桧無垢材を使用している。石こうなどの不燃材を施工しなかったことから、工期は約7ヵ月で済んだ。

 アールシーコアは、不燃材を使わず100%木造のまま防火地域でのログハウス建築にチャレンジしてきた。また、CLTは製品安定度、コスト、強度に加え高い防火性能があることから、その活用にも注力。今回の建物を含めこれまで4棟のCLTログハウスを建築してきた(工事中含む)。

 今回、防火地域での3階建てログハウス建築に成功したことから、同社は「木材あらわしによる木質感」と「ハード性能」の両輪から、商業施設など非住宅の中層ビルとしての普及を目指す。

賃貸住宅室内は、あらわしの内壁をはじめ、フローリングや建具も無垢材を使用。内壁は12cmもの厚さがあり、外壁と内壁だけで十分な断熱性を確保している。サッシと室内の壁との差で内壁の厚さがわかる

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CLT

木材板を積層接着した厚型のパネル。英語のCross Laminated Timberの略で、和訳は「直交集成板」である。 CLTは、板の層を繊維方向が直交するように交互に張り合わせたもので、高い寸法安定性、優れた断熱性があるほか、CLTを柱や梁とする構造は軽量で耐震強度を確保できるとされている。

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