大和ハウス工業(株)は2日、マンション事業計画に係る説明会を開き、今後の事業戦略について、上席執行役員マンション事業本部長の富樫紀夫氏が説明した。
同社の2024年度のマンション事業売上高計画は2,640億円。23年度(4,418億円)から大幅減となる。(株)コスモスイニシアが連結子会社から外れ同社の売り上げが剥落すること、また海外事業売上高が減少することが要因。供給戸数も前年度の1,432戸とほぼ同水準となる見込み。
富樫氏は「金利は上昇局面を迎え、実需層のマンション購入意欲を考えると、来年度から再来年度が転換期となる」とし「供給戸数を追うのではなく、一つひとつの物件の中身を高めていく。資材価格の高騰は落ち着いたが、労務費は上昇を続けることから販売価格が下がることはない。経済的にある程度余裕がある層に評価される、高付加価値物件の供給に絞ることで収益を重視していく」とした。
具体的には、三大都市圏・地方圏含めた再開発案件やマンション建て替えを強化していく。またグループ会社と共に、マンション単体ではなく複合型の開発により付加価値の高いマンションを開発する。現在、再開発は全国21件、建て替えマンションは全国10件を手掛けており、今後はこれら再開発・建て替えマンションの比率を売上高ベースで50%にまで引き上げる(現在:30%)。これらに取り組むことで、中期経営計画の終年度では26年度には、23年度水準の売上高4,000億円へ引き上げる。
環境対策では、23年度以降は全てのマンションをZEH-M Oriented以上を基準とし、低炭素住宅認定、レジリエンス性の強化、RE100対応などSDGsの取り組みを強化していく。「顧客の環境への意識は確実に高まっている。買えるか買えないか瀬戸際のユーザーを考えると難しい部分もあるが、自動車業界でも十数年前はほとんど採用されなかったABSやTSCが今では標準になった。ZEH‐Mもそうなってくる」(富樫氏)。