(一社)不動産証券化協会は10日、24回目となる「機関投資家の不動産投資に関するアンケート調査」の結果を公表した。年金基金(以下、年金)や生損保、信託銀行、銀行等の機関投資家(以下、一般機関投資家)を対象に、2001年度から毎年度実施している。今回は、年金56件・一般機関投資家62件の合計118件の回答を得た。調査期間は24年10月下旬~12月下旬。
24年度の「運用資産の資産配分における『不動産』の割合」については、年金では5.0%(23年度:5.0%)、一般機関投資家では2.5%(同:3.2%)となった。
「不動産投資への全般的な課題認識」は、年金では今年度から新設された回答である「流動性が低い」(44.0%)が1位に。次いで、「ベンチマークとなる不動産投資インデックスが少ない」(40.0%)、「テールリスクが大きい(災害等により不動産価値が大きく棄損しうる)」(32.0%)となった。一般機関投資家も「流動性が低い」(42.1%)が1位。続いて、「期待収益率が低い(インカムゲインの観点)」(28.1%)、「個別の不動産情報開示の向上・開示の標準化」(26.3%)、「不動産評価の信頼性が十分でない」(26.3%)。
不動産(実物不動産あるいは不動産証券化商品)に投資している投資家の比率は、年金数(機関数)ベースで、年金では70.9%(23年度:58.8%)、一般機関投資家では94.9%(同:85.5%)へと増加し、高い水準を維持している。
不動産のESG投資を実施している割合は、年金では3.8%、一般機関投資家では34.6%。一般機関投資家がESG投資を実施している理由は「長期的な運用パフォーマンスが向上すると考えるため」「運用パフォーマンスとは関係なく責任投資を行なうことが妥当」がそれぞれ47.4%だった。していない理由は「ESG投資の認知が広がっておらず説明責任を果たせないため」が年金で51.0%、一般投資家で30.0%だった。