国土交通省は16日、新しい時代の都市再生の方向性を示したものとして「成熟社会の共感都市再生ビジョン」を公表した。「都市の個性の確立と質や価値の向上に関する懇談会」(座長:野澤千絵明治大学政治経済学部教授)の8回にわたる議論の中間取りまとめにあたる。
同ビジョンでは、目指すべき都市再生の方向性として、精神的な豊かさや生活の質・価値の向上に重きを置く成熟社会に移行し、大都市と地方都市とが連携しながら中長期的に持続可能な都市の再生を図っていく必要があると指摘。都市の普遍的な魅力向上と共に、画一化することなく固有の魅力を一層高めることを目的に、地方公共団体や民間事業者による創意工夫を促し、その内容を評価することで各都市で人々が「共感」できる施策を推進することが有効だとした。これにより、子供から若者・高齢者まで多世代が共創し、多様な価値観を包摂するインクルーシブなまちづくりを進めつつ、人や投資を都市に呼び込んでいくべきだという。
ビジョンを実現するために必要な視点として(1)「経済価値」と「公共的価値」を両立するために計画段階からの協働を促進、(2)都市の固有の魅力に着目し、地域資源である既存ストックの活用を促進、(3)まちを「育てていく」という視点により、将来の可変性・柔軟性の許容する「余白」の創出を促進、の3点をポイントとして提示。その上で、ウェルビーイングの向上やシビックプライドの情勢、「稼ぐ力」の創出などに向けて具体的施策に取り組むべきだと提案した。