記者の目

2009/12/11

新しいワークスタイルを追求するオフィスビル

“遊び”を取り入れた「the SOHO」

 初期費用を抑えながらも好立地に設備の整った区画を借りられるSOHOは、若い世代の経営者や開業後間もないベンチャー企業に適応したオフィスとして、すでに都心部のオフィスエリアにおいて浸透している。  一方、オフィスビルの空室率が上昇の一途をたどるなか、SOHOでも空室が目立ちはじめているのが実情だ。そのため、SOHO運営事業者もテナント誘致のためのさまざまな工夫が必要とされているのではなかろうか。そうしたなか、空間デザインやイベント事業などを手掛ける(株)トランジットジェネラルオフィスが「オフィス=仕事」という概念にとどまることなく“遊び”を意識した仕掛けを取り入れ、新しいオフィス環境を提供するという。それが2010年3月に完成予定の「the SOHO」(東京都江東区)だ。

「the SOHO」外観
「the SOHO」外観
1階ロビー・ラウンジ(イメージ)
1階ロビー・ラウンジ(イメージ)
デスクや椅子を配置したSOHO内観
デスクや椅子を配置したSOHO内観
打ち合わせスペースから東京湾を一望できる
打ち合わせスペースから東京湾を一望できる
13階のバー・ラウンジ(イメージ)は入居者専用の空間。ドリンクやライトフードも提供する
13階のバー・ラウンジ(イメージ)は入居者専用の空間。ドリンクやライトフードも提供する
スカイテラスには休憩用のベンチや喫煙スペースなども用意(イメージ)
スカイテラスには休憩用のベンチや喫煙スペースなども用意(イメージ)

“遊び”を取り入れた施設構成

 

 「the SOHO」は、東京ウォーターフロントエリアである東京臨海部の青海地区に位置し、ビルの眼下には海と公園の緑が広がる。また、ゆりかもめ「船の科学館」駅・「テレコムセンター」駅からそれぞれ徒歩約5分と、都心までのアクセスもよく比較的便利な場所だ。

 同物件は、敷地面積5,150平方メートル、延床面積2万8,166.94平方メートル、鉄筋コンクリート造、地上13階地下1階建て。貸主は正友地所(株)であるが、(株)トランジットジェネラルオフィスが同物件の運営を行なう。

 エントランスを入ってすぐのロビー・ラウンジには、打ち合わせスペースとしての機能はもちろん、ビリヤード台や24時間閲覧可能な本棚も設置、“遊び”の機能を取り入れている。コンセプト型のカフェ&ダイニング、コンビニエンスストアも同フロアに入る予定だ。

 2~4階は、約200平方メートル~4,600平方メートルまでさまざまなワークスタイルに対応可能なフロア。2階には会議、研修、展示会、パーティーなど多目的な利用が可能なコンベンションセンターを配置している。
 5~9階は、働くことを意識したフロア。約33平方メートル~73平方メートルのスペースで195区画からなる。OAフロア仕様で自由度の高いオフィスレイアウトが実現できるという。

 10~13階は、仕事と暮らしを両立するフロア。約33平方メートル~120平方メートルのスペースで122区画からなる。床はフローリング仕様、シャワーブースやキッチンも完備しているため、職場兼居住の空間としての利用が可能。

 そのほか、同ビルの“遊び”の部分として、13階にはバーラウンジ、スパ、フィットネスといったリフレッシュできる施設が揃っている。さらに、屋上は臨海副都心と東京湾岸エリアを一望できるスカイテラスとなっている。

 ちなみに、各区画の1ヵ月あたりの賃料は、管理費込1万3,000~1万4,500円/坪程度。基本的には階数によって賃料の差はなく、面積が広い区画でやや割高となる。

 このように専有・共用の両部分に“遊び”の空間がちりばめられている「the SOHO」であるが、同社では空間を提供するだけでなく、“遊び”の空間で生まれる「出会い」を大切にし、入居テナント同士の結びつきをつくろうとしている。


働くことで生まれる結びつき 

 具体的には、入居者専用ホームページを開設し、運営事務局が管理・運営する。同ホームページには、各入居者の自己紹介となる「コラボレーションワーク」というページを設け、入居者同士をお互いを知り、一緒に仕事をするきっかけづくりにしていきたい考え。また、(株)トランジットジェネラルオフィスが定期的にパーティーを開催し、参加者のビジネスをアピールするチャンスとしてプレゼンタイムなども設けるなど、入居者同士のコミュニティ形成のきっかけづくりもしていきたいという。

 基本的にSOHO入居者はこれから成長していこうというベンチャー企業が多い。彼らにとっては、ビジネスチャンスを掴むことが重要であり、それは、人と人、企業と企業の結びつきがきっかけとなることも多いだろう。
 「the SOHO」は、“遊び”の部分を取り入れた働きやすいオフィスというだけでなく、ビジネスチャンスの場とも捉えられるのではなかろうか。(tam)

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【関連ニュース】
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