森ビル(株)が主催する社会人向け教育機関「アカデミーヒルズ・アーク都市塾」の第28期入学式が22日行なわれ、併せて第1回必修講義として経済財政担当大臣・竹中平蔵氏による入塾式記念講演が行なわれた。
今回入塾した第28期生は、15コース計280名。今期よりアートと建築を融合し、コラボレーションワークによって新しい都市文化を発信するワークショップスタジオ「東京アート&アーキテクチャースタジオ」を新設、さらなる内容の充実を図っている。
入塾式に伴い、第1回必修講義として行なわれた記念講演には、小泉内閣経済財政担当大臣の竹中平蔵氏が登場。18時45分の予定時間より大きく遅れて現れた竹中氏は、「日本再生への国家戦略」と題し講演を行なった。
講演の中で竹中氏は、政権誕生から1年を迎える小泉内閣の功績を交えながら、「経済とは循環するものだ。良くなると必ず悪くなり、悪くなると必ず良くなる。とはいえ、回復の兆しが多少なりとも見えてきた今こそ、経済を強くするための構造改革が必要なのである」と語り、その例として「諸問題はあるものの、今でも日本の自動車メーカーは世界有数の企業に名を連ねている。それは、これまで競争してきたからであり、競争力があるのである。一方で、銀行がなぜ弱いのかといえば、これまでの危機を起こさせない金融システムの中で、競争をしてこなかったからではないか。リスクなしに前進はあり得ない」と、「競争」の必要性を強調した。
また、支持率低下が懸念される小泉内閣のこの1年の軌跡を振り返り、「『政策にタブーはない!』と国民に知らしめた功績は大変大きい。さらに、経済諮問会議等の創設により、政治のプロセスが国民にも見えるようになっており、私としてはようやく政策と政治を10倍楽しく見る方法ができたのではないかと思う」などと会場の笑いを誘った。最後は、「小泉首相ともよく話すのだが、『正直者がバカを見ない社会システム』をつくっていきたいと思う。自らを助けることのできる人の多い社会こそ、弱者をも助けられるのではないか」と締め、約30分にわたる講演を終えた。