(株)住友生命総合研究所は、2002年7月上旬に行なった「全国オフィス需要動向調査」の結果を発表した。
同調査は、オフィスビルに関する質的量的な需要動向の継続的な把握と情報提供を目的とするもの。東京商工リサーチ提供によるデータベースをもとに、資本金規模上位1万社を対象に調査を行なった。回収率は10.2%(回収数1,021件)。
これによると、全国的に新しくオフィスビルを借りる動きが鈍る中で、港区においては昨年度推計の約1.5倍にものぼる面積の新規賃借(増床・借りかえを含む)が見込まれることにより、東京都心部では昨年推計結果なみの高水準となる見通しとなっている。一方で解約・縮小予定は減少しており、東京においては、結果的に昨年を上回る純需要面積が見込まれる。
オフィス賃借における解約・新規賃借の理由としては、オフィス統廃合によるコスト削減や、スペース効率向上が多く、今後、設備や立地等の面で好条件や低賃料である物件への移転が一層活発化するものと見られる。賃料水準の推移では、新規賃借予定物件については、需要サイドに強い賃料下げ圧力があることから、一層シビアな要求が出されている模様。また、全国的に割高物件の解約が優先されているという結果となった。
また、1社あたりの床面積を見ると、新規賃借予定物件では、事業所等の統廃合を目的とする移転が多いため、東京都心では拡大傾向が見られる。しかしながら、従業員1人あたりの床面積は、大半のエリアでほぼ同規模であり、新規賃借予定のオフィスでは今までより約5~10平方メートルほど狭くなる傾向が見られた。
なお、定期借家契約については、オーナーからの提案・交渉等はほとんど行なわれていない模様(2~3%)であるものの、提案・交渉を持ちかけている場合には高い確率で成約に至っているとの結果であった。