旭化成(株)、旭化成・ロングライフ住宅研究所は、これからの地球環境問題、少子高齢化問題を見据えて長期耐用の良質な住宅ストックづくりが不可欠と考え、このほど「一戸建て中古住宅購入者・売却者から見た住宅ストックの現状」調査を実施、その報告書をまとめた。
同調査は、首都圏および関西圏の売り手(サンプル数339世帯)および買い手(同215世帯)を対象に、住み替え時のこだわり、購入・売却のきっかけ、中古一戸建住宅の満足度、購入・売却価格の決定方法などについて回答者による自記入式による郵送調査を行なったもの。
調査結果を踏まえ同社がまとめた報告書によると、買い手側は中古住宅だからといって妥協せず、新築住宅を購入するときと同じ価値観での検討が望まれることが分かった。しかしながら、中古住宅の基本性能は見た目では分かりにくい部分もあることから、今後そうした点をサポートするシステムの整備は必須とし、それと同時に、買い手側の意識を育成すべく業界側にも努力が求めらているとしている。
また、良質なストックの市場形成にあたっては、土地、建物の価格を分けて売却価格を決定することが望ましいとしている。調査結果によると、過半数が「土地・建物の価格を区別しないで決めた」と答えたが、実際のところは、土地に比べ建物に対する価格意識が希薄なことが分かった。メンテナンスへのモチベーション、住み替えの促進を推進するうえでも、建物と土地を分離し、適正に評価する仕組みが必要とまとめた。
さらに今回の調査では、建物情報の開示度と購入後の住宅の満足度の関係は深いことが分かった。住宅に関する適切な情報の伝達こそが安心感につながり、購入後の満足度にも影響している模様。購入者としても、ハードやソフトを含めた詳細な情報を得ることで、将来への安心を得ているのではとしている。また同時に、購入後に安心して住み続けられるようなサポート態勢の充実も望まれている点をみても、メンテナンスやリフォームに関し、建物を良く知り、安心して任せられる「家守」的機能こそ必要なのではないかとした。
一般生活者の意識調査によると、「設備や外観、内装が良ければ中古住宅でもよい」と考える人が73%と、中古住宅市場の可能性が大きいこと分かる。同社では、今後市場を活性化させるにあたっては、住み手の満足は無視できないと見ており、そうした満足度の向上には、売り手が満足して住んでいた住宅を売ってこそ良質な市場形成につながるのではとしている。