国土交通省は30日、平成14年度の「住宅市場動向調査結果」を発表した。
同調査は、平成12年度まで新築住宅を対象に実施してきた「民間住宅建設資金実態調査」を、平成13年度からは中古住宅、リフォーム、賃貸住宅も対象に加え、調査内容も充実させて「住宅市場動向調査」として実施しているもの。
これによると、全国の注文住宅の建築資金調達先構成比は自己資金47.7%(前年度調査時47.3%)、借入金52.3%(同52.7%)で、自己資金の割合はほぼ横ばいで推移している。首都圏における注文住宅、分譲住宅、中古住宅、リフォーム住宅の購入資金調達状況は、注文住宅について前年度調査に比べ公的金融機関からの借入が減少した分、預貯金等および不動産売却、贈与・相続での調達額が増加したため、自己資本比率が前年比10.3ポイント増と大幅に増加した。なお、前年度調査と比べ、すべての住宅について、贈与・相続による資金調達の比率が増加している。
全国の注文住宅の平均建築費および延べ床面積は、おおむね横ばいで推移。首都圏の平均延べ床面積は、注文住宅が最も広く、次いで分譲住宅、中古住宅の順であった。
建築主の平均年齢については、リフォーム住宅の平均年齢が最も高く、リフォームを実施するのは長く住まう傾向の現れと思われる。次いで注文住宅、中古住宅、分譲住宅となっており、最も若いのが賃貸住宅。首都圏の注文住宅については、53.2歳と他地域に比べ高くなっているが、この要因としては土地取得費の高さなどが若年層の一戸建て取得を困難にしていると考えられる。
首都圏の注文住宅、分譲住宅、中古住宅のローン負担率は、分譲住宅が20.7%と最も高く、次いで中古住宅18.4%、注文住宅18.4%の順。また、前年度調査と比べ、住宅の建築や購入費用が減少し返済額が減少しているものの、返済負担率は増加しており、厳しい所得環境が起因しているものと思われる。
注文住宅、分譲住宅、中古住宅について「住宅の建築・購入にあたり影響をうけたこと」をみると、注文住宅では「従前住宅の売却価格」に影響を受けたとする世帯比率が80%以上を占め、二次取得者が多い注文住宅が従前住宅の売却価格に強い影響を受けていることがわかる。また、「税制等の行政施策に影響を受けた度合い」をみると、注文住宅、分譲住宅が5~6割以上と中古住宅に比べ大きな影響を受けており、中でも首都圏の分譲住宅における影響が顕著であった。中古住宅の値が低いのは、借入額・借入比率が低く、住宅ローン減税の影響を比較的受けにくいためと考えられる。なお、二次取得者の割合は、注文住宅が分譲住宅、中古住宅に比べて高くなっている。
高齢者等対応設備の整備状況については、注文住宅、分譲住宅ではいずれの設備の装備率も従前の住宅に比べ大幅に増加している一方で、中古住宅、賃貸住宅の増加率は相対的に大きな変化は見られない。また設備の中では「廊下などが車椅子で通行可能な幅」の装備率は、「手すり」「段差のない室内」に比べると低く、これは緊要度がやや低いことやコストが他に比べてかかることが影響しているものと考えられる。
中古住宅購入時のリフォーム状況については、前年度調査で全体の7割が購入後にリフォームを実施しているという回答だったが、今回調査では4~5割程度に減少した。なお平均リフォーム額は、前年度調査と同様、200万円前後となっている。