三鬼商事(株)は8日、2003年7月度の東京・大阪の「オフィスビル最新状況レポート」を発表した。
【東京】
東京ビジネス地区(都心5区)の2003年7月末時点の平均空室率は、前月比▲0.03ポイントの8.54%。都心5区では、2001年10月から空室在庫の増加傾向が続いていたが、大規模な自社ビル等の供給の影響が一段落し、リストラによる撤退の動きが落ち着くとともに、オフィス需要が借り換え移転へとシフトしてきたことなどにより、今月は空室在庫が約1,500坪の減少、1年9ヵ月ぶりに歯止めがかかった。しかしながら、不況下において新規需要が見込めない中、年内にオフィスビル15棟(延床面積約8万4,000坪)が供給され、来年以降にも再開発に伴う建て替えビルなどが相次ぎ完成予定であるため、今後テナント誘致競争に厳しさが増していくものと思われる。
なお、千代田区の7月末時点の平均空室率は6.67%で、前年末比1.64ポイントの増加となった。同区では、テナント企業が割安感のあるハイグレードな大型ビルに借り換え移転するなど、オフィス見直しの動きが活発化。今後も東京駅や麹町エリアなどで再開発事業が相次いで完成予定となっており、これらがオフィス需要拡大の起爆剤となっていると見られる。
【大阪】
大阪ビジネス地区の2003年7月末時点の平均空室率は、前月と同じく11.01%であった。7月は新築ビル2棟が募集面積を残し竣工したものの、中型・小型テナントの需要により既存ビルの空室在庫が減少し、横ばいでの推移。大企業の統合や集約の動きは落ち着いてきたが、新規需要が伸びないため、改善の兆しは見えない状況となっている。しかしながら、リストラによる影響が少なく、割安感があるため中型・小型テナントの需要の出た南森地区では、同空室率が8%台半ばと改善している。
なお、心斎橋・難波地区の7月の平均空室率は前年比2.07ポイント上げて13.21%となった。同区では、ソフトオフィスや店舗などの需要は堅調であるが、オフィス需要が低迷。今年前半からテナント企業の解約や撤退の動きが目立ち、同空室率が大きく上昇した。なお、大阪球場跡地を中心とする難波再開発事業「なんばパークス」内に今秋完成予定の超高層オフィスビル「パークスタワー」(延床面積19,058坪)は、募集状況が順調に進んでおり、竣工時には高稼動が予定されている。