三鬼商事(株)は12日、2003年8月度の東京・大阪の「オフィスビル最新状況レポート」を発表した。
【東京】
東京ビジネス地区(都心5区)の2003年8月末時点の平均空室率は、前月比0.03ポイント上昇の8.57%。都心5区では、千代田・中央・新宿区で大型既存ビルに成約・入居の動きが続いたものの、港・渋谷区では空室在庫が増加したため、小幅ではあるが上昇となった。年内竣工予定の大型ビルの募集状況はおおむね順調に推移。港区では9月に大型ビル1棟(延床面積約1万9,000坪)が竣工を予定しているが、大企業の集約などで満室稼働する見込みとなっている。新規供給に伴う大規模な移転の動きは一段落してきたものの、オフィスコスト削減を目的とした統合や集約の動きが続き、テナント誘致競争には厳しさが増している。
なお、中央区の8月末時点の平均空室率は8.00%で、前年末比▲0.71ポイントとなった。大企業の本社移転などにより、4月末時点では9.42%まで上昇したが、5月以降は、同空室率の低下が続いた。これは、大型募集が出ていたハイグレードなビルが高稼働したことや好条件の大型既存ビルにも大型の成約が出てきたためとしている。大型新築ビルの募集状況も好調で、多くのビルが満室稼働している一方で、8月末の平均賃料は18,415円と前年同月比▲6.99%としており、賃貸条件の調整が進んでいる。
【大阪】
大阪ビジネス地区の2003年8月末時点の平均空室率は、前月比▲0.63ポイントの10.38%。今夏は、大型需要が相次ぎ、この1ヵ月で空室在庫が1万2,000坪減少した。梅田地区では、一部の大規模ビルに大企業の統合や集約に伴う成約が相次ぎ、淀屋橋・本町地区でも新規物件に大型需要が出たほか、既存物件についても新規需要による成約がみられた。他地区についても撤退や解約などの動きはみられず、空室在庫が大幅に増加したエリアは無かった。
なお、京都地区の8月の平均空室率は前年比0.71ポイント上げて14.21%となった。同区では、前年からのテナント企業の撤退や縮小が引き続いているため、同空室率も緩やかな上昇傾向にある。京都駅周辺の大型ビルでもリストラなどの影響は出ているものの他のエリアからすると、市況は落ち着いている。四条烏丸エリアではオフィス需要が少なく苦戦しているが、進学塾や各種学校などの需要がみられる。