三鬼商事(株)は10日、2003年9月度の東京・大阪の「オフィスビル最新状況レポート」を発表した。
【東京】
東京ビジネス地区の2003年9月末時点の平均空室率は、前月比▲0.13ポイントの8.44%。9月は港区や新宿区で今年完成した大規模ビルや大型既存ビルに大型需要が相次ぎ、また港区では大型ビル1棟(延床面積約1万9,000坪)が全館満室で竣工、大型ビル2棟も満室および高稼動となった。また、来年はオフィスビル新規供給が大幅に減少するため、市況改善の兆しが見えてくるものと思われる。
なお、新宿区の9月末時点の平均空室率は8.55%で、前月比▲0.52ポイント。今年前半は大型供給とリストラの影響などから6月末に10%超となったが、7月以降、今年竣工した大型ビルに成約や入居の動きが出てきたため、8%台半ばまで改善した。また、当区では募集条件の見直しが進み、好条件の大型ビルに割安感が出てきており、テナント企業のオフィス見直しの動きが活発化している。
【大阪】
大阪ビジネス地区の2003年9月末時点の平均空室率は、前月比0.21ポイント上昇し、10.59%であった。9月は梅田地区や淀屋橋・本町地区で大企業の統廃合や撤退、移転中止などが相次ぎ、新築ビルの募集面積も増加。しかしながら、南森町地区や船場地区、新大阪地区で成約や大型募集の中止が見られたため、同空室率の急上昇には歯止めがかかった形となった。また、来年の新規供給量は、現時点では延床面積約8万坪になる見込みで、夏以降に大規模ビルの完成が相次ぐため、募集状況が注目されている。
なお、市の小坂地区の9月末時点の平均空室率は、前年末比▲0.60ポイントの12.24%。今年前半に13%台半ばまで上昇していた同空室率は、8~9月に割安感のある好条件の大型ビルにオフィス需要の動きが見られたことなどから、12%台前半にまで改善した。当区では募集賃料の調整が進み、割安感が出てきているため、今後他地区からの借り換え需要が期待される。