不動産ニュース / 調査・統計データ

2004/8/2

平成16年分路線価、全国平均12年連続の下落

 国税庁は2日、平成16年分の相続税および贈与税の課税における土地等の評価額の基準となる路線価および評価倍率(路線価等)を、全国の国税局・税務署において公表した。

 これによると、全国の評価基準の平均額は、1平方メートル当たり11万5,000円(変動率▲5.0%)で、12年連続での下落となったものの、変動率は5.0%と、15年度の6.2%、14年度の6.5%と比べ、下落幅が縮小してきていることが明らかになった。

 都道府県別平均額を見ると、東京都の45万4,000円(同▲1.5%)が最も高く、次いで大阪府が17万2,000円(同▲8.0%)、神奈川県が17万円(同▲5.6%)。一方最も低かったのは、昨年に引き続き、山形県の3万8,000円(同▲5.0%)であった。
 また圏域別には、東京圏が25万7,000円(同▲2.7%)、大阪圏が15万5,000円(同▲7.7%)、名古屋圏が9万4,000円(同▲6.0%)、地方圏が5万6,000円(同▲8.2%)であった。

 なお、都道府県庁所在都市の最高路線価については、東京都中央区銀座の「銀座中央通り」が1平方メートル当たり1,376万円(変動率8.2%)と19年連続でトップ。以下、2位が大阪市北区角田町「御堂筋」の408万円(同0.0%)、3位が名古屋市中区栄3丁目「大津通り」の340万円(同1.5%)となっている。
 前回上昇に転じたのは東京のみであったが、今回は東京、名古屋、そして福岡市中央区天神2丁目「渡辺通り」の3地区で上昇に転じた。

 平成16年分路線価についての各社からのコメントは以下のとおり。

(社)全国宅地建物取引業協会連合会 会長 藤田和夫氏
 平成16年分の標準宅地の路線価は、全体では12年連続の下落となったものの、三大都市圏で下落幅は縮小し、最高路線価の変動率は東京(銀座)で4連続の上昇、名古屋・福岡でも上昇し、札幌・大阪・京都では横ばいとなったことは注目できる。3月に発表された地価公示も同様の動きを示しており、これらが資産デフレ脱却の兆しであることを期待したい。
 各種経済指標が大幅な改善傾向を示し、都心部では一部マーケットに“強気”ともいえる現象が見られるが、これらが地方圏にも波及し、流通市場回復の端緒となることを切に望む。
 日本経済の本格回復のためには資産デフレの早急な解消に加え、土地保有リスクを軽減し買手が拡大するような政策の実施が重要である。とくに地方自治体の条例により軽減が可能となった商業地に係る固定資産税の見直しは急務であり、本会では地方協会の力を結集して取り組みたい。
 
三井不動産(株) 代表取締役社長 岩沙弘道氏
 全国平均では下落幅は縮小しているものの、12年連続の下落であり、引き続きわが国が資産デフレから脱却できていない状況を示しているが、最高路線価では東京だけでなく名古屋・福岡も上昇に転じ、都心一等地等の需要が旺盛なエリアの地価は底打ちしたと言える。これは土地税制の改革や都市再生の推進など、政策面の効果が生じてきたとともに、J-REITの拡大等不動産証券化の進展により不動産投資市場が活性化した表れであると考える。
 地価はその土地における経済活動の負担力を反映すると考えられることから、地価の安定化のためには、行財政の効率化を徹底的に進め、民主導による景気回復を確実にする必要がある。また、土地の保有コストを軽減し需要を喚起するために、平成16年度税制改正で導入された条例による固定資産税の負担軽減制度の活用について、各自治体による早急な対応を期待する。その中で、われわれデベロッパーも街に賑わいを創出し、付加価値を高めるプロジェクトを推進することにより、都市の魅力向上のために自らの使命を果たしてまいりたい。

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