三鬼商事(株)は8日、2004年9月度の東京・大阪の「オフィスビル最新状況レポート」を発表した。
【東京】
東京ビジネス地区の2004年9月末時点の平均空室率は前月比▲0.25ポイントの7.15%であった。
9月は、新宿区を除くエリアでの大型既存ビルの成約や入居が進んだことから、1ヵ月間で空室面積が約1万5,000坪減少。さらに、大型新築ビルの募集状況では、来年完成予定のビルまで成約が相次ぐなど好調に推移している。また、本社ビル・自社ビルやオフィスビルの供給量が前年に比べ大幅に減少しているため、大企業の1,000坪以上の移転の動きが少なく、大型解約に伴う空室面積の増加傾向に歯止めがかかっている。
一方、中堅企業は、都心5区に割安感のある物件が増えたことから、オフィスをワンフロアに集約するなど、活発な借り換え移転の動きが見られる。
渋谷区の9月末時点の平均空室率は5.45%で前年末比▲2.10ポイントであった。前年は大型供給の影響により空室率が7%台後半まで上昇したが、今年前半より値ごろ感のある大型既存ビルに対し大型の需要が相次いだため、5%半ばまで改善。また、今年の新規供給量は延床面積約1万坪に減少している。
【大阪】
大阪ビジネス地区の2004年9月末時点の平均空室率は前月比0.19ポイント増の9.71%であった。これは、9月に「梅田阪神第2ビルディング」、「第2吉本ビルディング」、「ORIX堂島ビル」が梅田地区で竣工し、大型供給が行なわれたことが要因。一方新築オフィスビルは、募集面積を残して竣工するケースがほとんどだが、需要が堅調なため、竣工後に成約などが進み満室・高稼動するビルが多くなっている。
テナント企業の移転動向は、経費削減に伴う見直しが主流だが、今年は拡張傾向が出始めオフィス需要が伸びてきているものと見られる。
江坂地区の9月末時点の平均空室率は13.75%(前年末比▲1.08ポイント)。リストラの影響が弱まり在庫の解消が進んだため、前年末比で空室在庫が約600坪減少した。しかし、市内中心部に割安感が出はじめていることから、大阪ビジネス地区内に比べるとまだ需要は少ない状況となっており、長期間空室を抱えているビルは苦戦が続くと見られる。なお、江坂駅周辺では、割安感のある大型ビルが多く見られるため、エリア外からの借り換え需要が期待されている。