(社)全日本不動産協会の新理事長に就任した川口貢氏が20日、専門紙記者と会見し、「会員企業安定のため、各地方本部とも相談しながら、会員支援事業を積極的に展開したい」などと抱負を語った。
川口氏は、今後の事業運営方針について「全日という組織は、都市部から地方までの不動産業者を会員とする、大きな船のような団体。都市部と地方との間ではさまざまな格差があり、その舵取りは容易ではない。しかし、“和”と“団結”という故・野田卯一会長のモットーを引継ぎ、適切な会務運営に努めたい」とした。
具体的には、会員業務支援の積極展開と“力ある組織”のための会員増強、地域社会に浸透する協会活動をめざし、地方本部の意見を吸い上げて事業に生かす、会員の貴重な会費で運営されていることを肌で感じながら、透明性のある予算執行を行なう等々を挙げた。
新しい事業としては、賃貸管理士制度、住宅ローンアドバイザー制度の創設、そしてモーゲージバンクの創設などをあげ、このうちモーゲージバンクについては、すでに実施された会員へのアンケート調査を踏まえ、設立に向けた調査研究を行なっていくという。
このほか、現在検討がなされているレインズの統合問題については「経費負担の軽減を考えれば、数年以内に統合される可能性もある。サブセンターをどうしていくかといった諸問題はあるが、今後も引き続き検討したい」とした。
また、たびたび話題にあがる(社)全国宅地建物取引業協会(全宅連)との合併・統合については「全日としては、今のところ考えていない」とした。
一方、中小不動産流通業者の事業環境については「仲介は人と人との信頼関係で成り立っている。大手のシェアが伸びているが、レインズ等によって大手・中小の情報格差も少なくなってきている。だからといって安心せずに努力し、地域のオンリー1、地域の不動産コンビニに徹していくべき」とした。