三井不動産販売(株)の岩崎芳史社長はこのほど専門紙記者と会見し、今期の経営戦略等について語った。
主力のリハウス事業については、4~6月期も取扱件数が前年同期比6%増、手数料収益が同13%増と好調。「2年前を底に、取扱平均価格が上昇している。売り物件の件数も13%増え、これに対する買い反響も60%増えるなど活況だ。個人ユーザー以外では、いわゆるパワービルダーの土地買い需要が物凄い。取扱高は、バブル期を越えている」とした。
営業力強化については、都心部の店舗戦略をあげ「渋谷店や新宿店は3チーム制を敷き、投資物件なども扱っている。また、郊外部では母店機能を持たせた店舗をサテライト店で取り囲んでいく。都心部の個人投資家を対象にした“リアルプラン”は白金店を出し4店舗体制とする。各店舗でさまざまな情報を発信し、顧客を囲い込んでいきたい」。
法人仲介事業については「JREITが3兆円、私募ファンドが3兆円、合わせて6兆円もの資金が市場に流入している。当社も4~6月期で20%利益がアップし、いまやリハウス事業に次ぐ2番目の柱となった。需要は底堅いが、ピークを過ぎたとき堅い利益が出せるような仕掛け作りをしている。情報開発営業部による需要の掘り起こしや、企業OBを集めたアドバイザリーグループによる事業再生の提案などだ」。
新規受託販売では「湾岸部を中心に、激戦が続いている。湾岸部では、当社だけで1万戸販売するが、さまざまな需要層の喚起、ロケーション、値下げ競争もあり、売れ行きは好調だ。ただ、郊外部の小規模、徒歩5分以上の物件は苦戦するだろう。新規販売はこれまで供給者側の論理で進んできたが、これからは消費者側の論理で進んでいく。価値観がすべて変わって、全く新しいビジネスモデルの構築を迫られている。こうした変化を先取りするため、来年10月に三井不動産の分譲住宅部門と当社の受託販売部門を統合した製販一体の新会社を設立する。現在、ビジョン委員会でその中身を検討している」などと語った。