分譲マンション事業の総合コンサルティングを行なう(株)トータルブレイン(久光龍彦社長)は、06年から数年間のマンション市場をさまざまなデータを基に予測した「トータルブレイン流中期マンション市場展望」をまとめた。
潜在需要については、首都圏への人口流入が継続していること、団塊ジュニア世代が30歳代となり住宅取得が本格化すること、その後に続く団塊ジュニアネクストのボリュームも首都圏では大きいこと、それらの層の持ち家志向が極めて高い(90%超)と高いことなどから、住宅取得ニーズは極めて旺盛とした。また、分譲価格の下落と大量供給による都心居住が増える一方、団塊ジュニア世代は住みなれた地元での住宅購入志向が強いことから、郊外地域での住宅需要も根強いものがあるとみている。
一方、04年秋頃から顕著になってきたマンション用地の高騰で、06年は分譲単価が本格的に上昇するとみられているが、景気の回復基調を受け、消費者の“縮み志向”が弱まりつつあること、金利や分譲価格の先高感による“煽り効果”が予想以上に強く、分譲価格が10%程度上昇しても、顧客の購入体力からギリギリ吸収できるとみられるとした。
同社は、その目安として顧客の「返済負担率」(収入に対する住宅ローン返済額の比率)をあげている。返済負担率は、デフレ不況による不安定から、ここ数年20%から10%台後半に抑えられてきた。分譲価格や金利が上昇しても、上限25%までなら過去問題がなかったことから、今後は返済負担率を25%以内に収まるように、顧客の購入環境を検証していく必要があり、これが25%を上回るような状況になれば、市場が難しい局面に直面する可能性もあるとした。
ただ、マンション購入者層は共働きで合算収入が見込めること、景気回復による所得上昇が見込めることもあり、よほどの価格上昇、金利上昇がなければ、マンション市場が今後数年間で大きな失速となる可能性は低いと結論付けている。