新年度を迎え、不動産各社においても新たに不動産業界の一員となる新入社員を迎えるべく、入社式が執り行なわれた。以下、各社入社式での社長挨拶の要旨。
■森ビル(株) 代表取締役社長 森 稔氏
「ヒルズ」とは、当社が長い歳月をかけて遂行した挑戦的かつ創造的な大規模複合開発に冠する名称であり、複数形には、「都市化と緑化」、「伝統と革新」、「経済と文化」など、一見矛盾する対立的要素の融合という意味が含まれます。「ヒルズ」が今後も、時代の変化に適応した新たな産業を育む場として、都市づくりにおける「ルネッサンス」の象徴であり続けたいと考えています。
当社の事業は、都市開発を中心に、商業や文化、教育、ホスピタリティ事業など幅広く多岐にわたり、今後さらにその社会的重要性を増していくことでしょう。そのような状況のなかで求められる人材とは、社会性、協調性に優れ、経営者的感覚を備えた人材です。若い世代は、専門分野にこだわらず、むしろ専門外の知識を積極的に吸収し、全体を見渡せるバランス感覚を身につけて欲しいと思います。
■森トラストグループ 代表 森 章氏
森トラストグループは、不動産事業、ホテル&リゾート事業、投資事業の3事業を柱に複合企業体を再編するという転換期にある。
不動産業は都心の再開発を多く手がけており、従来からの強みである複合再開発事業を中心に都市機能の組み合わせ方のノウハウを磨き、優良なまちづくりを目指していく。
ホテル&リゾート事業は「ラフォーレ倶楽部」と、森トラストが間接的・直接的に手がける多様な高級ホテル群がある。これらを一体とすることで事業フィールドは格段に大きく立体的に広がる。
投資事業は自ら出資して投資事業会社を設立したり、M&Aや資本業務提携をすること、企業再生に絡むホワイトナイト的役割など多様な関わり方で臨む。
出資の仕方も案件に見合った形で行なう。投資対象は当グループのルーツを意識しつつもそれにこだわらず、異なる事業分野にも積極化する。
森トラストは自身が企業の中心として多様な事業を展開していくことになる。こうした経営資源と方針から今後は「人の価値」がより重要な位置づけになる。みなさんは足元の仕事をしつつも埋没せず、既成概念にとらわれず視野を広げ、本当にやりたい事や自身の能力を探り、ゆっくり慎重に前進していただきたい。
■三菱地所(株) 取締役社長 木村 恵司氏
昨年度スタートさせた中期経営計画では、当社のコアコンピタンスがデベロップメントであることを再確認し、「デベロップメントを核とした高い不動産価値創出能力を持つ、新時代の不動産会社として確かな地位を築く」という基本目標を掲げている。
事業を展開する上で、「コンプライアンス」が基盤となる。当社では「コンプライアンス」を単なる「法令尊守」ではなく「お客様や社会のニーズに応え、満足していただくことである」と捉えている。それらのニーズに応えていくためには、社員一人一人が経験、ノウハウ、スキルに加え、人に対する謙虚さ、優しさを持ち、自立することが必要である。
仕事に取り組むにあたり、1.人間としての高い識見を持つこと 2.常にオープンマインドであること 3.チームワークが大事であることを認識することを絶えず留意し日本に限らず世界に羽ばたく不動産のプレーヤーに成長するという気概をもって活躍して欲しい。