分譲マンション事業の総合コンサルティングを手掛ける(株)トータルブレイン(東京都港区、代表取締役社長:久光龍彦氏)はこのほど、「ザ・千葉市」と題したレポートを発表した。
首都圏他エリアが供給ボリュームを減らす中で、前年比28%増(2006年上半期)と大幅に供給量を増やしている千葉県。その中で、今後の市場動向が最も懸念されている千葉市にスポットをあて、現状分析と今後の市場を考察したもの。
同社は、千葉市のマンション市場の現況について、(1)都心回帰の影響で減少傾向にあった供給量は、2006年大幅に拡大。過去10年間の目安だった3,000戸を上回るのは確実(2)価格はやや上昇気味だが、95~96年相場よりまだ20%以上の乖離がある(3)平均専有面積は約80平方メートルと非常に広い(4)申込率は80%台と非常に好調とし、これまでは「価格の上昇が少なく、広い商品が安く買えるため、価格競争力が強く販売は好調」としている。
ただ、マンション用地の高騰、供給増による競争激化、「新価格」への移行が始まった2006年は様相が一変している。千葉市都心部である中央区、山側の住宅地である稲毛区、海側エリアである美浜区で現在分譲されている20物件を分析したところ、売り出し住戸がほぼ完売している好調物件は、わずか3物件に過ぎず、売れている物件も時間がかかっていることが分かった。全体的な特長として、(1)稲毛エリアのバス便などを中心に、交通利便性にマイナスがある物件は苦戦(2)価格の上昇はあまり見られない。稲毛区は価格乖離が15%前後となっており、割高感が出ている(3)面積広め志向が強く、面積圧縮による単価アップは難しい(4)価格の割に設備仕様のグレードは高い。しかし、設備仕様が良いからといって売れているわけではない、などと分析している。
特に、千葉特有の事情として、首都圏全体の約3割の供給ボリュームを誇る戸建ての競争力を挙げ、「交通利便性にマイナスを抱えるエリアは、戸建てとの競合環境となり、その戸建てもレベルが高いことから、バス便物件のリスクは高い」とし、千葉市でのマンション事業は「駅力が高い駅の近くなど、利便性の高さが重要なポイント」と分析。「他エリア同様の強気度合いで用地取得はしてはいけない。売値が上がっても大丈夫、グロス圧縮による民力合わせの高単価調整も大丈夫という、安易な発想で取り組み事は厳に慎むべき」としている。