(社)日本不動産学会は19日、春季全国大会シンポジウム「都市再生とコンパクト・シティの学際分析―自治体での施策実践を踏まえて―」を開催した。
同シンポジウムは、コンパクト・シティづくりに取り組む青森市からの実践的取組み報告を踏まえ、学際研究領域からのアプローチに加えて、民間ビジネスの視点も加味し、コンパクト・シティづくりを取り巻くさまざまな論点を解明することを目的として実施されたもの。
基調講演として、国土交通省住宅局市街地建築課長の井上俊之氏が「まちづくり三法の改正とコンパクト・シティ実現に向けた論点」について論じ、続いて青森市副市長の佐藤健一氏が「コンパクト・シティ実現への取組み実践」について語った。
パネルディスカッションでは、佐藤氏に加え(株)ダイヤモンドシティ代表取締役社長の鯛 洋三氏がディベロッパーの視点からコンパクト・シティについての意見を述べたほか、岡山大学大学院環境学研究科教授の谷口 守氏が「都市モデルとしてのコンパクト・シティ」についてを語った。九州大学大学院人間環境学研究院教授の出口 敦氏は、「コンパクト・シティからコンパクト循環シティへ」について論じ、日本大学経済学部教授の中川雅之氏が「中心市街地対策の評価」について語った。コーディネータに筑波大学生命環境科学研究科教授の氷鉋揚四郎氏を迎え、議論が行なわれた。
ディスカッションの最後に、氷鉋氏は「コンパクト・シティの実現には、住民の意識改革が要求され、結果を自覚できるメカニズムが必要。官の役割としては、自治体・住民に対し実現に向け切り開いていく力を与えるインセンティブの役割を担ってほしい。これからも学際的な研究がさらに必要」とまとめた。