(社)不動産証券化協会(ARES)は11日、「第28回理事会」を開催。終了後、記者会見を行なった。
理事会では、2008年度の税制改正要望項目に「地域活性化ファンド投資支援税制の導入」を追加することを決定。低・未利用不動産の有効活用を通じた地域活性化に資する取組みを支援するため、ファンドを介した地元住民等の出資または融資等に対する優遇措置の創設を要望する。
記者会見の席上、同協会理事長の岩沙弘道氏は「都市・地域の再生、社会インフラの整備に関して不動産証券化を利用することは、日本経済の成長基盤となる。地方の不動産の証券化については、リスクは大きいが、その分リターンが期待できるだろう。ポートフォリオの分散投資の視点からみても、魅力は増してきている。投資対象も工場の底地や病院など広がってきており、今後は都市再生・地方中核都市再生にも証券化手法を使った投資機会が増えていくだろう」と語った。
また、サブプライムローン問題についても言及し「グローバルな視点では影響が大きいと認識しているが、日本の不動産市場にダイレクトに影響はしないだろう。短期的な価格変動は懸念されるものの、限定的な影響にとどまるとみている。証券化市場は依然、持続的な拡大基調にある」とコメント。海外からの日本の不動産投資市場への資金流入についても「東京のオフィスマーケットが依然順調に推移していることからみても、今後も安定的に流入してくるだろう」との考えを明らかにした。
そのほか、9月30日から施行される金融商品取引法について「金商法では投資家保護と信頼性の向上が図られているが、協会の各会員のみならず、市場のプレイヤーにも浸透するようバックアップしていく。市場に混乱をきたしているなどの声もあるが、業界関係者が円滑に事業を進められるよう、汗をかいていくつもりだ。具体的には、実務研修などを9月中に開催する」と語った。
なお、同協会の会員数は9月11日現在、正会員100社、賛助会員190社の計290社となった。