不動産ニュース / その他

2007/9/20

2007年都道府県地価調査結果に業界・各社がコメント

 国土交通省が19日に発表した「2007年都道府県地価調査(基準地価)」について、業界団体・各社のトップから以下のようなコメントが発表された。

(社)全国宅地建物取引業協会連合会会長 藤田和夫氏

 平成19年都道府県地価調査結果は、全国平均でみると住宅地がほぼ横ばい、商業地はわずかではありますが16年ぶりに上昇していることについては、喜ばしい状況になりつつあると感じている。
 特に三大都市圏ではいざなぎ景気を超える好況の中、旺盛なマンションやオフィス需要とJREITや投資ファンドなどによる不動産証券化のいっそうの進展により、2年連続の上昇となったのであろう。
 一方、本会では「全国的な資産デフレからの脱却」をめざして、土地住宅税制のあり方研究会(座長:山崎福寿上智大学教授)を設置し、政策提言や要望活動を展開し、各種の税制改正等を実現してきた。しかしながら、今回の都道府県地価調査結果においては、地方圏では下落幅が縮小しているとはいえ、依然として下落が続いている。本会では「地域活性化」と「全国的な資産デフレからの脱却」を図るためにも、平成20年度税制改正要望において「地方活性化のための税制措置の創設」や「地域活性化ファンド投資支援税制の創設」について、関係各方面に強力に要望活動を展開していきたい。

(社)不動産流通経営協会理事長 岩崎芳史氏

 平成18年調査に比べ、住宅地の地価は、全国平均でほぼ横ばい、商業地では、16年ぶりにわずかな上昇となった。三大都市圏・地方ブロック中心都市における上昇傾向の広がり、その他地方中心都市における上昇地点の増加など、地価の持ち直しの兆しも見せ始めたが、地方圏の大半の地点では、依然として下落が続いている状況にある。
 三大都市圏等の上昇傾向の広がり方も一様ではなく、利便性、収益性の高い地域と、その他の地域との地価動向の差異がいっそう鮮明になっている。また、一部の高上昇率を示した地点でも、今年に入り上昇率の低下も見られ、新たな価格の調整局面に入っていることも考えられる。
 今後、全国レベルでのバランスの取れた地価回復を実現するためには、米国のサブプライムローン問題に端を発した経済の不透明感を払拭し、経済の活性化を進めるとともに、国民生活の基盤である土地・住宅に関する多様なニーズに応える政策を推進し、住宅流通市場のさらなる活性化を図ることが不可欠である。具体的には、住生活基本法や「200年住宅ビジョン」等で示されている通り、住宅ストックの有効な活用を図る既存住宅流通市場の活性化への諸提言をスピーディーに推進して行くことが肝要と考える。

三菱地所(株)取締役社長 木村惠司氏

 商業地は、16年ぶりに全国平均が上昇に転じた。三大都市圏内でも、高度にオフィスや商業施設が集積するエリアは賃料上昇による収益性の向上等を反映して引き続き30%を超える高い上昇率を示しているが、一部の地点ではキャップレートの下げ止まり等を受けて地価上昇率の伸びが昨年より鈍化した箇所も見られる。
 JREITやファンド等は、三大都市圏における物件の取得難や利回りの低下から、地方圏への投資割合をより高めており、札幌市・仙台市、福岡市で上昇率が30%を超える地点が見られた他、平均で上昇に転じた地方都市が増えてきた。しかし、地方圏全体の平均では、依然下落しており、二極化傾向は継続している。
 住宅地も、三大都市圏内は、2年連続の上昇となった。分譲マンション市場は首都圏を中心に底堅く推移しているが、地価、建築工事費の上昇による分譲価格のアップに加え、米サブプライムローン問題に端を発した株式市場の停滞が顧客心理に影響を及ぼす可能性もあるため、今後は利便性や住環境の優れた土地を慎重に選別して事業を行うことがますます重要になってくる。
 当社では、本年4月より地方エリアにおける開発事業への取組体制を強化した。丸の内を始めとする都心エリアで引き続き積極的に開発事業を推進していくことに加え、地方圏でも多様な開発事業を展開していく。また、政府、日銀等の法・税制改正や金利政策運営にあたっては、不動産市場が、持続的に成長できるよう適切かつ柔軟な対応を期待したい。

東京建物(株)取締役社長 畑中 誠氏

 東京・大阪・名古屋の三大都市圏や札幌、仙台、福岡といった地方ブロック中心都市で地価上昇が鮮明になるとともに、都市の中心部から周辺地域へ上昇傾向が広がりつつある。これは、日本経済が緩やかな景気回復を続けるなか、都市・地域再生の進展により、利便性、収益性が向上したからである。
 わが国の不動産市場は、都心部を中心に、オフィスやマンション需要が堅調に推移するなか、不動産証券化市場を通じてグローバルな資金や年金等の多様な資金が流入するなど投資が活発化している。しかし、バブル期と異なるのは、不動産証券化市場の拡大発展が不動産の収益価格をベースとした健全な価格形成をもたらし、透明性の高い正常な不動産市場へと構造転換が進んだことである。
 今後、わが国の内需主導型経済を更に持続的に成長させていくためには、規制緩和の継続、官民一体となった都市・地域再生の推進、不動産証券化市場の拡大、税制支援などの各種施策の実行が不可欠である。とりわけ、不動産の流動化や有効利用を促進するための不動産税制の拡充は極めて重要であり、その効果は、いまだに土地資産デフレから脱却できないでいる地方圏の経済活性化に繋がるものとなろう。

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