ジョーンズ ラング ラサール(株)は(JLL)6日、「世界の不動産市場の2007年の分析と2008年の展望」を発表した。
それによると、07年のグローバル市場においては、サブプライムローン問題など、信用収縮が起こったものの、直接商業用不動産投資は06年度より8%アップの7,590億ドルと過去最高の取引額を更新。
エリア別にみると、アメリカ市場では3,120億ドル、欧州市場では3,270億ドル、アジア・パシフィック市場では1,210億ドルと、それぞれのエリアで取引額が過去最高となった。
1,210億ドルの取引が行なわれたアジア・パシフィック市場では、そのうちの約50%を占める600億ドルが日本における取引。
なお、アジア・パシフィック市場におけるクロスボーダー取引はアジアパシフィック全取引のうち、33%から47%に増加。また日本における取引600億ドルのうち、47%はクロスボーダー取引となっており、同社は不動産取引のグローバル化がいっそう加速していると分析している。
また、アジアにおける2007年の大型取引トップ10のうち、6つは日本での取引で、第1位の全日空ホテルポートフォリオ13物件の22億9,500万ドルに続き、第2位が虎ノ門パストラルの19億6,000万ドル、第3位が日本テレビゴルフガーデン跡地の19億5,300万ドル、第4位が銀座東芝ビルの13億6,700万ドルと、10億ドルを越える取引が多数みられたと発表した。
08年におけるグローバル経済は引き続き堅調であるものの、賃料の上昇率は以前の予測より縮小傾向となること、また、投資市場での競争は緩和され、08年の取引額は近年の記録更新レベルにまでは到達せず、市場は縮小すると見込んでいる。一方、アジア・パシフィック市場には、引き続き多額の資金が流れ込むと予想した。
また、日本の売買マーケットでは、LTVの低下、ノンリコースローン金利の上昇などで、リファイナンスが困難になり、ファンド事業が撤退。大手企業の優位性が増すと分析している。
なお、中国・インドなど、高い経済成長を続ける各国で構成されるアジア・パシフィック市場における日本市場について、JLL代表取締役濱岡洋一郎氏は「モラルや透明性が高いことに加え、日本の施工技術が高いなど、ファンダメンタルズな要因が高い評価を受けている」とコメントしている。